現在の医療はチーム医療が基本であり、それぞれの職種が自分の役割をきちんと果たすと同時に、他の職種と上手に連携を取ることが求められます。ここでは理学療法士と作業療法士が他の職種とどのように関わればいいのかについて説明します。

 

医師との関わり方

医師との関わり方

リハビリテーションは医師からの指示で行ないます。しかし、実際の医療現場では医師からの指示は大まかなものであり、理学療法士・作業療法士は患者一人ひとりに対して正確な評価を行い、適切なリハビリテーションを提供しなければなりません。自分の判断で行っていいことと、医師の判断が必要なことをきちんと理解し、必要な場合は医師に相談して指示をあおぐことが必要です。

理学療法士・作業療法士は骨折の患者を多く担当します。骨折へのリハビリテーションは骨折の回復具合にあわせて提供していくことが必要です。骨折の回復具合を診断するのは医師の仕事です。理学療法士・作業療法士は医師と相談しながらリハビリテーションをすすめていく必要があります。

また、リハビリテーションは術後すぐに開始されることが増えており、リスク管理が非常に重要です。リスクをもっとも把握しているのは執刀医師や担当医師です。医師からリスクに関する情報を聴取し、可能な範囲でリハビリテーションを行なわなければなりません。

患者の心身機能やADL能力は、リハビリテーションを提供している理学療法士や作業療法士がもっとも理解しています。理学療法士や作業療法士はその情報を正確に医師に伝える義務があります。医師はその情報を参考にし、転院や退院の時期を決めることになります。

看護師との関わり方

看護師との関わり方

看護師は患者と接している時間がもっとも長い職種であり、患者の健康管理も行なっています。そのため、患者の体調をもっとも把握しているのは看護師といえます。理学療法士や作業療法士は看護師と情報交換を行なうことで、リハビリテーションのリスク管理を行ないます。直接コミュニケーションをとることもありますし、カルテを参考にすることもあります。

また、看護師が行なうケアは患者への生活リハビリテーションにつながります。理学療法士や作業療法士は患者が出来ることをフィードバックし、患者が病棟で出来ることを増やしていくように提案します。看護師は生活リハビリテーションの重要性を理解しているため、協力的であることが多いです。しかし、看護業務は多忙な為、看護師の負担を増やすような提案は出来ません。患者にとって安全で看護師の負担がかからない形で提案することが大事です。歩行を例にあげれば、介助して歩行させるとなると看護師にとって大きな負担となりますが、目の届く範囲での監視ということであれば大きな負担とはならないでしょう。

介護士(介護福祉士)との関わり方

介護の現場でよく見られる問題として過介護があります。わかりやすくいうと患者のことを助けすぎてしまうということです。良いことのように思う人もいるかもしれませんが、患者は日常生活で自分の能力を使う機会がなくなるため、身体機能の低下につながります。介護士する側にとっても負担が増えることになるため、良いことはまったくありません。理学療法士や作業療法士は患者の身体機能をもっとも知っている職種として、介助方法などのアドバイスを行ないます。介護士は介護のプロであり、上手な介護を行なう人は多いのですが、リハビリ的な観点を持って介護をしている人はあまりいません。理学療法士や作業療法士は上手にアドバイスすることによって、患者の能力を最大限に生かす介護方法を行なってもらえるようにします。介護士自身の負担も減る結果になるため、信頼関係を得ることができれば、協力してもらえるようになります。

介護士は患者の日常生活の介護を行うのが仕事です。そのため、患者の日常生活動作をもっとも良く見ている職種です。これらの情報は理学療法士や作業療法士がリハビリを行なう上で非常に役立ちます。

言語聴覚士との関わり方

言語聴覚士との関わり方

言語聴覚士は言葉や食事、聞くことに関するリハビリテーションを行なう職種です。そのため、理学療法士や作業療法士とは共通する部分が非常に多いです。患者への評価や治療結果をお互いにフィードバックしあうことで、良い治療に結びつけることができます。

同じリハビリテーション科に所属する職種ではありますが、得意とする分野には違いがあります。運動機能やADLに関する情報提供は理学療法士や作業療法士の方から行い、言語聴覚士からは言語や嚥下に関する情報提供をもらうことが多いです。患者が退院する際は、一緒になって在宅サポートなどを考えます。

管理栄養士との関わり方

管理栄養士との関わり方

管理栄養士とは褥瘡対策委員会や栄養対策委員会、患者に対して嚥下訓練や食事指導を行なっているときに関わることが多いです。

管理栄養士からは患者の身体機能や認知機能が食事に影響している時に意見を求められることがあります。福祉用具や自助具は作業療法士の得意分野であり、管理栄養士に使用を提案することで患者の食事動作が改善することがあります。

管理栄養士との連携でもっとも重要なのは患者の嚥下機能に関することです。理学療法士・作業療法士または言語聴覚士が行なった嚥下評価を管理栄養士にフィードバックすることで、食事形態変更などの対策をとることができ、誤嚥性肺炎を防ぐことができます。

臨床検査技師との関わり方

臨床検査技師との関わり方

臨床検査技師と理学療法士・作業療法士が直接関わることはあまりありません。しかし、臨床検査技師が測定した数値はリハビリを行なう際のリスク管理に欠かすことが出来ません。特に糖尿病や腎臓病、肝臓病などがある患者の状態は、血液検査の結果が非常に参考になります。また、心臓や呼吸器に疾患がある患者の検査結果はリハビリテーションの運動負荷を考える際に非常に重要な情報になります。

臨床放射線技師との関わり方

臨床放射線技師との関わり方

理学療法士・作業療法士は臨床検査技師が撮影したレントゲン写真やCT画像を見る機会が非常に多いです。レントゲン写真からは骨折の具合や回復状態がわかる他、手術方法や変形の程度から後遺症が予想できることもあります。

CT画像は患者の脳の状態を知る為に見ることが多いです。脳卒中の場合は障害をうけた脳の部位がわかることで、出てくる症状を予想することができ、脳の萎縮具合からは認知症の進行度合いを知る手がかりになります。もちろん、診断を行うのは医師であり理学療法士・作業療法士が診断を行うことはできませんが、評価や治療のための有用な情報を得ることが出来ます。臨床検査技師といい関係を作っておけば、画像に関して相談することが出来るでしょう。

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