作業療法士になるための志望動機を明確にして、履歴書と面接対策に備えよう

新卒の皆さんは実習が終わり、どのような施設で働きたいか、どのような分野で働きたいか、思い描くことができているでしょうか?

新卒の皆さんにとっては最初に働いた職場で身につける技術や経験が自分のベースとなっていきますので、自分がどのような作業療法士になりたいのか、どの分野に進んでいきたいのかを明確にしておくことが大切です。

志望動機はいわば、自分の作業療法士人生を始めるための決意表明でもあります。しっかりと自分の中でまとめ上げるようにしておきましょう。

 

作業療法士の志望動機とは

就職試験で履歴書に必ず書くこと、面接で必ず聞かれることが志望動機です。志望動機が自分の中で明確であると、自分がどのような人物であるのかが相手に伝わりやすくなります。作業療法士の志望動機を考える時に重要なこと、志望動機を履歴書に書くときと面接で話すときのポイントについてみていきましょう。

作業療法士の志望動機で重要なこと

採用側は、作業療法士として現場で活躍してほしい、戦力になる人材を採用したいという思いで志望者をみています。作業療法士の資格を持った人であれば誰でもよいわけではありません。採用側はその職場が必要とする人材であるかを志望動機から見定めようとしています。

面接では、「なぜ作業療法士になったのか」ということを聞かれることもあるかと思いますが、採用側はその先の「どのような目的」で作業療法士になりたいと思ったのか、作業療法士として「どのようなことをしていきたいのか」、「どのような意志」を持って作業療法士として働いていくのか、「どのような魅力」のある人材なのか、作業療法士として働くのに「どれくらいの熱意」を持っているのか、この職場で「長く勤めることができるのか」などを知りたいと思っています。

作業療法士として、また、一人の人間として、自分にどのような魅力があるのか、どのような活躍が期待できるのかを、志望動機から具体的にイメージできるように示すことが重要です。

作業療法士の志望動機と面接でのポイント

作業療法士の働く分野は大きく分けても身体障害分野、発達障害分野、高齢期分野、精神障害分野があります。どうして、その分野に進みたいと思ったのか、なぜこの職場を選んだのかということを自分で説明できるようにしておきましょう。

また、リハビリ職では理学療法士、作業療法士と選択肢がある中で、「理学療法士ではなく、なぜ作業療法士を選んだのか」ということを聞かれることがあるかもしれません。「作業療法士にしかできないこと」、「作業療法士としての強みを大切にしたい」と考えている職場も多く存在します。「作業療法士の○○の部分に惹かれた」、「○○だから作業療法士を選んだ」など、「~だから、作業療法士として働きたい」という強い思いをアピールするのもよいでしょう。

作業療法士は人と関わる仕事ですから、相手とどのように話をするのかということも面接ではチェックされています。声の大きさ、声のトーン、話し方、話すときの姿勢、自分の言いたいことを相手に伝わりやすいように話せているかなども意識するようにしましょう。

作業療法士の履歴書-志望動機の書き方のポイント-

実際に履歴書に記載する志望動機の書き方のポイントをみていきましょう。履歴書に志望動機を書く際には、面接で自分の思いを自由にしゃべるのとは違い、数行の文章に自分の伝えたいことをまとめなければなりません。短い文章でも読み手に自分の思いが伝わるように事前に伝えたいことを箇条書きで書き出しておくとよいでしょう。字は丁寧にはっきりと読みやすく書くことも大切です。

作業療法士としてその職場で働きたいと思ったきっかけ

「その職場で働きたい」と思ったきっかけ・理由が何かあるはずです。志望動機のアピールポイントともなりますので、しっかりと押さえておきましょう。「○○の経験をしてこの分野で働きたい」、「○○の手技を学んでスペシャリストになりたい」、「○○の疾患を勉強したい」、「家から近く通いやすい」、「作業療法士として地元に貢献したい」など、きっかけや理由を明確に示しましょう。

志望先の職場の情報にひきつけて書く

職場の特色や理念などをホームページや実際に見学に行ってチェックしておき、自分の思いにひきつけて示しましょう。職場ごとに理念や特色も異なります。自分がもしその職場の職員になったらこうなるという将来のビジョンを具体的に説明できると、相手にも自分の思いが伝わりやすくなります。「○○の特色があるこの職場で△△がしたい」、「○○の理念に共感した」、「この職場で△△をしていきたい」など、職場の情報と自分の思いとを絡めて書くようにしましょう。

目標・将来像を示す

この職場で成し遂げたい目標や作業療法士としての将来像を示すと、自分の目指しているところ、やりたいことが相手にも伝わりやすくなります。「病院で経験を積み、貴院の関連施設の○○でも働きたい」、「○○が有名なこの病院で○○の研究にも携わりたい」など、その職場で働いての自分の目標や将来像を示しましょう。

作業療法士の志望動機の例

作業療法士の志望動機の書き方の例を実際にみていきましょう。

新卒採用の場合

例1 認知症病棟のある精神病院への志望動機

おばあちゃんが認知症になり、家族で介護をしていた経験があります。家族が関わることはとても難しく、認知症の方やその家族が笑顔で暮らせるような支援をしたいと思い、作業療法士を目指しました。認知症病棟のあるこの病院で経験を積み、認知症の専門作業療法士を目指したいと思っています。

例2 回復期病棟のあるリハビリテーション病院への志望動機

回復期病棟のある病院に実習に行った際に、作業療法士がトイレや入浴、料理、掃除などの直接生活に関わる動作を獲得できるように支援していくことにやりがいを感じました。限られた入院期間内で再び生活動作を獲得し、退院できるように回復期のあるこの病院で働きたいと思います。また、退院する際にアドバイスができるように福祉機器や福祉用具についての勉強もしたいと思っています。

転職の場合

例1 病院から地域リハへの志望動機

○年間、リハビリテーション病院で様々な疾患を担当し、自宅に帰るまでのサポートを行ってきました。しかし、退院後レベルダウンしてしまう患者様も多いことを知って退院後の患者様の生活を支援したいと思い、訪問リハビリを志望いたします。とくに、パーキンソン病やALSなどの難病の自宅支援について学び、経験したいと思っています。

私が作業療法士になったときの志望動機

私自身が新卒で作業療法士になったときの志望動機は実習でした。実習に行くまでは、精神科の授業が面白いと感じ、精神障害分野に進もうと何となく考えていました。しかし、身体障害分野の実習で実際に患者様を担当させていただき、トイレやお風呂、ワープロの練習などを通して患者様が動作を獲得していく過程を経験することや、初めて見る失行の患者様の治療経験が非常に面白く感じたのです。その後に行った発達障害分野の実習では、一人ひとり個性のある子どもたちがあまりにも可愛く感じ、もっと経験したいと思いました。身体障害分野と発達障害分野とどちらか一つに絞ることができず、両方経験できるリハビリテーション病院を志望したのです。

面接では素直に、実習に行って身体障害分野も発達障害分野も両方経験したいと思ったということをいった記憶があります。

転職した際の志望先は在宅リハビリでした。志望動機は、子育て中であり、勤務時間と勤務場所が条件に合うからでしたが、それだけを前面に出すのではなく、リハビテーション病院勤務の経験があり、退院後の患者様の生活をみることのできる在宅リハビリを経験したいということも伝えました。

経験があって転職する際は、それまでの経験年数や経験分野、力を入れてきたことなどがアピールともなります。たとえ全然違う分野へと進む場合でも、作業療法士としての今までの経験や新しい分野にチャレンジしたいという気持ちがマイナス要素となることはありません。私の周りには実際に分野替えした作業療法士も多くいます。正直に自分の気持ちを伝え、なぜそこで働きたいのかを示すとよいでしょう。

おわりに:作業療法士になる面接でのアピールポイント

作業療法士は生活を支援する仕事ですので、今までの経験や特技など、何でも仕事に活かすことができます。スポーツをやっていたので体力がある、工作が得意、アイデアマンであるなど、志望動機に盛り込んで、どんどんアピールしていくとよいと思います。私の知っている作業療法士では、ピアノが弾けるので音楽療法も勉強したいという人や、特技の習字や絵画を作業療法に活かしたいという人もいました。作業療法士としてこの職場でこのようなことがしたい、こうなりたいということにプラスして、こんなこともできるという他の人にはないようなアピールポイントがあれば是非伝えてみるとよいでしょう。

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