作業療法士は転職しやすい?キャリアアップのポイントと転職事情を現役OTがご紹介します

キャリアアップやライフスタイルの変化に合わせて、人生において転職を考える時はあるでしょう。作業療法士を生涯の職業として選んだ際に、転職しやすい職業であるかということは気になりますよね。作業療法士の転職についてみていきましょう。

 

作業療法士の転職事情

仕事を続けるうえで、自分の目指していく目標が見つかったとき、「他の職場に移ってキャリアアップを図りたい」と思うことや、引っ越しや結婚、子どもが産まれたなどの生活の変化から、「今よりも条件の良い職場に移りたい」と考えることはあるでしょう。そうなったときに、気になるのが、「作業療法士は転職しやすい職業なのか」ということです。作業療法士の転職事情についてみていきましょう。

作業療法士の転職

作業療法士の転職は、珍しいものではありません。自分の求める職場を目指して、転職する作業療法士が多いのも実際です。作業療法士は、生涯にわたって働き続けられる仕事ですので、「ライフスタイルの変化に合わせて」、「自分の目指す作業療法が行なえる職場を目指して」、「他の分野に挑戦するため」など、さまざまな理由で転職する作業療法士がいます。

転職回数としては、最初の職場で何年か勤めてキャリアを積んだ後に、自分の強みとする分野や、極めたい分野でのキャリアアップを図るために転職する場合は、1~2回程度が多いでしょう。女性の場合は、配偶者の転勤などに合わせて転職を繰り返す場合は、3回以上となることもあるでしょう。

もちろん、なかには、初めて勤めた職場で長年キャリアを積み、生涯、転職をしない作業療法士もいます。その場合でも、キャリアアップにともなって、臨床の現場から作業療法室をまとめる役割や、後輩作業療法士の育成、制度や経営に関わる役割など、仕事の内容は変化していきます。

作業療法士は転職しやすい

作業療法士は医療専門職であり、国家資格であるため、転職はしやすいと言えるでしょう。経験者を求めている職場では、即戦力として活躍してくれる作業療法士を求めています。最初に勤めた職場で3~5年程度の経験を積むことで、一般的な社会人としての常識や、作業療法士として一通りの業務を行える経験があるとみなされ、即戦力として、中間管理職としての立場を求められることもあります。

昨今は、在宅での作業療法士の需要が高まっており、介護保険施設やデイケア、訪問リハビリ事業所などの老年期分野では、経験の有る作業療法士を求めています。求人もたくさん出ており、転職する際に、自分の希望する条件に合うところをいくつかの職場で比較する余裕もあるでしょう。

たとえ、精神障害分野から老年期分野へなど、違う分野へと転職する際にも経験がネックとなることはなく、作業療法士としての経験があれば、転職先での活躍を期待され、優遇されます。

作業療法士が転職しやすい分野

実際に、老年期分野では、身体障害者分野だけではなく、精神障害分野出身の作業療法士も多く活躍しています。精神障害分野出身の作業療法士は、籐細工や折り紙、手芸などの手工芸やゲームや体操などのレクリエーションの知識や技術に長けているものが多く、認知症の方や活動性の低下した方などへ、アクテビティやレクリエーションを提供することが非常に上手です。また、対象となる方の生活背景や社会背景をしっかりみることができるので、家族の関係性や介護力などが非常に大切な情報となってくる老年期分野では、その力を発揮することができます。

どの分野で働いていても、作業療法士であることには変わらないので、作業療法士の視点や考え方、提供できる知識・技術を持っていれば、たとえ、異なる分野へ転職したとしても新しい症例や情報、分野に関する制度などに対する勉強を怠らなければ、転職先でも十分に仕事をこなすことができるでしょう。作業療法士は、経験を積む中で、いつでも、目指す分野の方向性を変えることができる職業でもあるのです。

作業療法士としてのキャリアアップのポイント

作業療法士としてキャリアアップを図るためには、現場で経験を積むことと、現場でわからないことや知らないことに出会った時に、すぐに調べて解決し、次の治療時に、得た知識と経験を活かすことです。そうして、目まぐるしく変化する医療の世界の情報についていくために、常に新しい情報をキャッチしようとする姿勢を持つことも大事です。

現場経験が一番重要

作業療法士として、臨床現場で経験を積むことが何よりもキャリアアップにつながります。現場でたくさんの症例をみること、いろいろな事例を経験すること、たくさんの患者様やご家族、他職種とのコミュニケーションをとること、先輩から学ぶこと、で作業療法士としての力がついていきます。

特に、作業療法士としての評価のポイントや評価の質、治療の技術や、予後を予測しての環境設定の判断などは、経験を積むことで養われていくものです。ただし、毎回、どんな症例にも同じような支援を行っていては、成長することができません。常に、自分のしたことでどのような反応が得られたのか、どのようなところが良くて、どこが反省すべき点であったかを振り返り、反省点をふまえて、次回の治療に活かしていくことで、自分の技術を磨いていくことができるのです。

実務経験を積みながらも勉強を欠かさないことが大切

実務経験を積むことはキャリアアップにおいて不可欠ですが、その裏で勉強を欠かさないことも同じくらい大切です。臨床現場においてわからないこと、知らないことが出てきた時は、その日、家に帰ってから調べたり、先輩に意見を聞いたりして、その日のうちに解決するようにしなければ、わからないままズルズルと過ごしていくことになり、曖昧な知識のまま、評価や治療を続けることになってしまいます。勉強を怠っていれば、自分自身が成長することはできず、仕事において面白みを感じることもないでしょう。

臨床現場においては、患者様への説明責任が問われる時代になっていますので、評価や治療の説明や、現在の状態の説明など、解剖学、生理学レベルからしっかりと事実に基づいた根拠を述べることも必要です。自分が行なっていることの裏付けを行うためにも基礎医学をしっかりと勉強し、臨床につなげることが大切です。

医療の世界は、日進月歩、日々新しい情報や技術が入ってきます。最近ではネットの普及により、患者様でも難しい医学用語や最新の医療情報を口にされ、作業療法士が驚くこともあります。患者様から質問を受けた時にも対応できるように、新しい医療ニュースにも目を向けて、最新の知識を頭に入れておく必要があります。もちろん、知らないことを聞かれれば、「知らなかったので調べてきます」と、家に帰ってから調べることも大事です。

考え方や介助方法、治療技術などもその時々の主流となるものがあるので、ブランクがあって転職した際には、時代遅れの作業療法士にならないためにも、今はどのような方向性でリハビリテーションが展開されているのかを早期につかみ、医療制度などのチェックも怠らないことが求められます。

作業療法士が転職先を選ぶ際の注意点

作業療法士が転職先を選ぶ際には、まずは、「自分がなぜ転職をするのか」、「転職先で何を求めるのか」ということを自分の中ではっきりさせておく必要があります。ただ、「給料に不満があったから」、「何となく、面白みを感じなかったから」などの理由で転職してしまうと、同じように転職を繰り返すことになるでしょう。「今、一番優先すべきこと」を叶えられる転職先を選びましょう。

施設の雰囲気

作業療法士が働くこととなる現場の雰囲気を確認しましょう。職場環境や職員の動きや介助の仕方、利用者様への対応や、利用者様の様子などをみると、職員の仕事に対する姿勢や、職場に入った時に求められるレベル、どのような方を対象に作業療法を行うのかということがわかります。職員同士の人間関係なども、みれる範囲で感じ取りましょう。

自分が求めている職場環境と一致するか、自分がこの職場で活き活きと働く姿が目に浮かぶかを見極めましょう。

給与

職場によっては、控除前の金額を示しているところもあります。「前の職場よりも給与が高いと思っていたら、実際の手取りは前よりも少なくなっていた」なんてことにならないように、控除後の金額がどのくらいになるのか、基本給の他にどのような手当てがつくのか、月給制であるのか、年棒制であるのか、賞与はどのくらいなのかというところもチェックしましょう。訪問リハビリの場合は歩合制のところもありますので給与体系はしっかりと押さえておきましょう。

中途採用の転職の場合には、経験年数に応じて給与が変化する職場もありますから、最初はどのくらいで、その後どれくらい変化するのかもチェックしておきましょう。

有給・長期休暇・福利厚生

リハビリテーション病院や個人のクリニック、介護施設や訪問リハビリでは、土日・祝日も勤務となる職場も多くなっています。固定休であるのか、それとも、不定休であるのか、二連休はとれるのか、半日勤務はあるのかなど、職場によって休みのとり方も様々です。結婚して家族がいる場合は、二連休がとれることや、土日・祝日の休みがとれることも大事なポイントになってくるかと思います。

長期休暇は何日間、どのようにとれるのかということもチェックしましょう。まとめての休暇がとりにくい場合もありますので、旅行の計画などを入れたい場合はチェックが必要です。また、プライベートなことだけではなく、学会や研修に参加したい場合に、休みがもらえるかということも聞いておきましょう。

福利厚生面も充実しているに越したことはないですね。

作業療法士の数・経験年数

職場に作業療法士が何人いるのか、経験年数はどのくらいの人がいるのかということもチェックしておきましょう。まだまだ、これから先輩に教わりながらキャリアを積んでいきたいという場合には、経験年数豊富な作業療法士が揃っている職場がよいでしょう。

作業療法士の数が少ないと、職場内でディスカッションや勉強会、情報交換などができないので、自分で外の勉強会や研修に参加していく必要があります。育児中の方の場合は、子どもの病気や、学校行事などで休む場合に代わりがいないので休みにくいという点もあります。

後輩作業療法士がいる場合は、教育・育成にあたることもありますので、そのあたりもふまえておきましょう。

仕事内容

対象となる疾患や、担当制で作業療法を展開しているのか、どのような作業療法を行っているのかを詳しく聞きましょう。作業療法でも、それぞれの職場によって色があります。職場によって基本としている考え方や治療技術が異なる場合もあり、今まで自分が行なってきたこととは全く違うことをしている場合もあります。どのようなことができるのか、それを学びたいと思うのか、それとも自分には合わないと感じるのか、詳しい内容を聞いて判断する必要があります。

施設での勉強会や研修などが充実しているかを確認しましょう。どのような分野に力を入れているのか、リハビリ職だけでなく他職種研修や施設全体の研修が行われている場合もあります。職場でどのようなことが学べるのかを最初に確認しておくと、働いてみてから、「こんなことがしたかったのではないのに」というギャップに悩むこともなくなります。

キャリアアップにつながるか?

自分が目指したい作業療法士像になるための勉強や経験が積める環境であるかの判断が重要です。この職場でキャリアを積むことによって、自分の理想像に近づくことができるのか、自分の学びたい対象や分野がみられるのか、勉強しやすい環境であるか、この人の下で働きたい、教わりたいという上司がいるのかということもポイントとなるでしょう。

キャリアアップを目指して転職するには、自分の目指すキャリアアップの道をある程度見据えて将来の計画を立てておくことも有効です。例えば、いろいろな症例を担当し、行く行くは地元に帰って地域のリハビリに携わりたいということであれば、リハビリテーション病院で多くの症例を担当し、その後にデイケアや高齢者施設、訪問リハビリの事業所をいくつか経験して、地域でのリハビリに求められることや、制度、経営のノウハウを勉強し、地元で訪問リハビリ事業所の立ち上げを行う道があります。

何かひとつの分野を究めてスペシャリストになる道もあります。発達障害施設で働き、学校や保育所・幼稚園などの教育現場での支援に携わる道や、NICUの赤ちゃんをみるスペシャリストの道、就労支援や福祉用具・住宅改修、認知症のスペシャリストなど、働くうえで興味を持った分野へと進む道もあります。自分の進みたい道が定まると、自然と転職先の職場の理想像も見えてくるはずです。

作業療法士の転職ケース

実際に作業療法士が転職した事例として私の経験をご紹介します。

リハビリテーション病院から訪問リハビリへ転職

私の場合は、リハビリテーション病院から訪問リハビリへと転職をしました。リハビリテーション病院では、3カ月間と定められた入院期間内で、いかに、障害された機能の獲得を目指すか、失われた機能以外の方法で日常生活動作を獲得するか、ということを最大の課題として、患者様が自宅に帰ることを目指して、日々、奮闘していました。患者様やご家族様の、「少しでも良くなりたい」という思いを受けて、その思いに応えるべく、毎日、勉強にも励んでいました。

たくさんの症例をじっくりと担当でき、自分の治療に対する上司からのフィードバックや勉強会、症例発表も活発に行われていたので、作業療法士としての知識を身につけ、技術を磨くには最適の環境でした。

5年間リハビリテーション病院に勤め、自分なりの作業療法のスタイルもできつつあり、入院から退院、外来まで、一通りみれるようになった頃でした。自分が担当した患者様が自宅に帰り、外来リハビリに訪れるようになった時に、入院生活時の規則正しい生活から、自分ペースの生活に戻ることで、機能低下がみられたり、導入した福祉用具を使いこなせてなかったりという症例があり、ショックを受けました。

外来での短い時間内での自宅の生活の聞き取りや、動作練習だけではなかなか自宅での生活を想像することができず、限られた時間内でできるリハビリを行うことと、自主練習課題を渡すことしかできなかったのです。

「自宅に帰った後の患者様の生活をフォローしたい」、「入院中に獲得した機能を在宅生活でも活かせるリハビリを行いたい」と思うようになり、訪問リハビリへの転職を決めました。

自分の行いたい作業療法を求めて転職

訪問リハビリでは、病院から退院して自宅で過ごしている方たちのリハビリですから、まさに、作業療法士の得意分野といえる日常生活の場、そのものでのリハビリです。自宅で行うこと全てがリハビリになり、行うこと全てが生活につながっていきます。

実際に在宅でよく使われている福祉用具と、病院で退院時に提供していた福祉用具とのギャップもあり、やはり、実際の生活の場を知ること、生活の場でリハビリを行うことの大切さを学びました。

病院から在宅へと分野を変えることになりましたが、病院勤務時代の経験が在宅に活かすことができるので、プラスアルファの知識や経験をたくさん積むことができました。看護師さんとコミュニケーションをとることも多く、看護師視点での考え方など視野も広がりました。

このように、分野を変えることで、前の分野の経験にもとづき、新しい分野で活躍することもできます。女性の場合は、結婚や出産など、ライフスタイルの変化に伴い、休日や時間の都合がつきやすいなど、働きやすい環境を求めて転職する場合も多くみられます。

精神科分野から老年期分野へ、老年期分野から手の外科へ、など思い切った転職を成し遂げ、活躍している作業療法士もいます。

まとめ:作業療法士は転職しやすい!

作業療法士は、自分のキャリアアッププランやライフスタイルの変化に合わせて転職しやすい職業です。生涯にわたって、分野や職場を変えながら活躍できる職業なので安心して作業療法士を目指してください。

学校に入る前に、何となく、「精神科分野で働きたいな」、「病院で手の外科をみたいな」、など、思い浮かべている人も多いと思います。ある程度、自分の目指したい分野を絞っておき、最初に勤める職場やその先のイメージまで固めておくことが大切ですが、臨床実習を経てから気持ちが変わることもあるでしょう。

私も、最初は「精神科で働きたい」と思っていましたが、臨床実習で「失行・失認の症例と小児と両方みられる職場に行きたい」と思い、リハビリテーション病院を選びました。そしてリハビリテーション病院から訪問リハビリへと転職しています。作業療法士として活躍できる場はたくさんあるので、是非、自分の目指したい作業療法像を見つけて、それを叶えるべく、チャレンジしてほしいと思います。

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