医療の現場で働いている職業として多くの人が思い浮かべるのは医師や看護師でしょう。実際の医療の現場では医師や看護師だけでなく、多くの職種の人が働いています。

医師のことをメディカルというのに対して、医師と共同して働く医療従事者のことを「コメディカル」といいます。 コメディカルの定義ははっきりとしたものでなく、看護師や薬剤師をコメディカルに含めるかどうかは議論があるところです。

医療技術は日々進歩しており、医師だけでは現在の高度な医療に対応することはできません。各分野に専門的な知識をもったコメディカルがおり、現在の医療を支えているのです。

 
医師と共に働く医療専門職

コメディカルの語源

コメディカルの語源

コメディカルという言葉は和製英語であり、英語圏ではパラメディカルと言われるのが一般的です。パラメディカルには医師を補助するという意味合いがあり、医師と他の職種との間に上下関係を感じさせるとして日本ではあまり浸透しませんでした。 そのような中で『共に、一緒に』という意味を持つ接頭語であるcoをつけてコメディカルという言葉が使われるようになり、チーム医療の考え方にも通じることがあることから、広く医療の現場に広まりました。 経緯を知らない人の中には医者のもとで働く職種ということで、小メディカルと勘違いしている人がいます。コメディカルの理念とも反することになるので、正しく意味を理解するようにしましょう。コメディカルという言葉は医療業界では日常的に使用されており、最近ではネットの求人サイトなどでも頻繁に使用され、一般の人にも認知されつつあります。

コメディカルが行なう仕事

コメディカルは医師以外のほとんどの職種が含まれます。同じコメディカルでも職種によって行なう業務は全く違います。ここではコメディカルを検査、ケア、治療の3つの分野に分け、どのような職種があるのかを説明します

検査を行うコメディカル

検査を行うコメディカル

検査には健診でよく行なわれる血液検査や尿検査、胸部エックス線検査、肺機能検査、心電図検査などの一般的なものから、人間ドックや脳ドックなどで行なわれるCTやMRIなどの高度な医療機器を使用した検査などがあります。実際に病気が疑われる場合には、実際の組織を採取して細胞を検査したり、細菌を培養する検査なども行なわれます。 病気の診断や治療方針の決定は検査結果をもとにして行なわれることから、ミスが許されない分野であり、高い専門性と正確性が求められる仕事です。検査を行うコメディカルには臨床検査技師や診療放射線技師、臨床工学技師などがあります。

ケアを行うコメディカル

ケアを行うコメディカル

ケアというのは患者に対してお世話や配慮、気配り、お手入れなどを行なうことを言います。主な職種としては、看護師や看護助手、介護福祉士、介護士などがいます。精神的なケアが必要な患者がいる医療機関では、臨床心理士や精神保健福祉士といった職種が活躍します。生活相談員という形で多くの病院で活躍している職種には社会福祉士があります。 入退院に関するお世話や社会資源の利用、金銭的な面でのアドバイス、退院後のサービス調整などを行い、患者をサポートしています。ケアの分野では、患者だけでなく家族へのケアが必要になる場合も多いです。不安な気持ちをやわらげるように話しを聞いたり、将来的な不安や金銭的な不安、介護に関する不安などが解消できるよう適切なアドバイスを行ないます。紹介した職種以外にも、産婦人科の分野で活躍する助産師や、保健分野で働く保健師などがあります。

治療を行うコメディカル

治療を行うコメディカル

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリに関わる職種は治療の分野に分類されます。医師の指導に基づいてリハビリを提供し、患者の早期の社会復帰を手助けします。 他にも視機能回復のための訓練を指導する視能訓練士や、薬の調合や管理を行なう薬剤師、栄養管理を行なう栄養士などのコメディカルがいます。 病院に勤務している人は少ないですが、針師やきゅう師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師などもこの分野に含まれます。

その他業務を行なうコメディカル

他にも上記に分類されない職種として、診療情報管理士、医療事務などの医療現場における事務的な役割を果たす仕事や、患者に必要な義肢や装具を製作する義肢装具士、移植に関する調整を行なう移植コーディネータなどの仕事があります。

コメディカルが注目されるようになってきた背景

コメディカルが注目されるようになってきた背景

従来の医療は医師を中心としたものであり、医師の配下にあることで他の医療従事者が主体性を発揮しにくく、結果として最善の治療が提供されないことがありました。このような中から生まれたのがチーム医療という考え方であり、各職種がチームの一員としてそれぞれの役割をきちんと果たすことで最善の治療を提供します。チーム医療では上下関係はありません。チーム医療の普及によってコメディカルは広く注目を集めることとなりました。

コメディカルに求められる高い専門性

現在の医療は高度化と複雑化が進んでおり、医師一人で業務を行なうことはできません。医療業務は細分化と分業化が基本になっており、それぞれの分野をコメディカルが担当する形になっています。そのため、コメディカルにはその分野におけるスペシャリストであることが求められます。学校で必要な知識や技術を身につけるのはもちろんのこと、資格取得後も自己研鑽によって常に新しい技術を学ぶ姿勢が求められます。

コメディカルは患者と医師と患者の橋渡しを行なう。

医師は多くの入院患者を担当しているだけでなく、外来での診察や手術などにも対応しなければなりません。そのため、患者と実際に接する時間は医師よりもコメディカルの方が長い場合が多いです。特に看護師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などは患者と話したり、体に実際に触る機会も多く、医師よりも先に患者の変化に気づくことが多くあります。患者からの相談を受けることも多いです。重要な情報は素早く医師に報告し、患者に最善の医療が提供されるようにするのもコメディカルの大事な仕事です。

現在の人口に対する医療従事者の割合

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