理学療法士の定義を正しく知って、仕事内容・資格・なる方法など基本を詳しく知ろう!

理学療法士は今ではよく知られる職業となってきましたが、理学療法士や理学療法の定義について正しく知っている方は多くないかもしれません。仕事内容や国家資格、なるための方法など基本的なポイントを知って、理学療法士のことをより理解していただけたら嬉しく思います。

 

理学療法士とは

理学療法士は、医療専門職の一つです。作業療法士、言語聴覚士とともにリハビリ専門職の一つに数えられます。国家資格となってから50年以上の歴史があり、現在も10万人以上の有資格者が働いています。

理学療法士の仕事内容

理学療法士が行う理学療法とは?

脳卒中などの病気や、骨折などの怪我、加齢などの原因で、筋力や体力が低下したり、関節の動きが悪くなってしまった患者さんに対して、身体機能を回復させるのが主な仕事内容です。小児の患者さんを対象とする場合には、先天性の疾患に対してのアプローチも行います。

筋力トレーニングや関節の動きを改善するトレーニングを行います。患者さんの姿勢や体の使い方を分析して体の使い方をアドバイスするのも重要な仕事です。

また、理学療法士の得意分野として、機器を使ってのリハビリも行います。温めたり冷やしたり、電波を当てる、電気を流すなどの行為を、専用の機械を用いて行います。これにより痛みを緩和させたり、関節の動きをよくするなどの効果が得られます。これを物理療法と言います。理学療法士の「理学」とは「物理」のことを表しているのです。

理学療法士の仕事

実際の理学療法士の仕事内容について解説しましょう。

まずなにより欠かせないのが、患者さんや利用者さんとのリハビリテーションです。これが最も重要な業務です。

リハビリテーションは計画に基づいて進められるものです。目標を設定し、それに向かって患者さんやご利用者さんと二人三脚でリハビリに取り組みます。そのため、計画書を作るなどの書類作成業務もあります。また日々のリハビリの内容についてカルテに記録するなど、書き仕事も決して少なくありません。

目標を決めるためには、患者さんの情報を正確にキャッチする必要があります。そのための評価(アセスメント)も重要な業務です。これは筋力や関節の動きなど、身体機能を客観的に表すために行われるものです。リハビリの前後でどのくらい効果があったかを知る上でも、患者さんの情報を正確に捉えることが大切です。

また患者さんやご家族と話し合いを行うことや、日々のリハビリの進み具合を説明する機会も多くあります。病院や施設には理学療法士以外の職種もたくさん働いていますから、その中で患者さんやご利用者へのアプローチ方法について会議を行うこともあります。理学療法士としての知識が必要であるだけでなく、一社会人としてのコミュニケーション能力も欠かせません。

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理学療法士の対象 

理学療法士が対象とするのは、ほぼ全ての人と言っても過言ではありません。もともと「リハビリテーション」という言葉には、「元の状態に戻す」という意味があります。「災害
からの復興」や「罪を犯してしまった人が更生して社会復帰する」なども広い意味でのリハビリテーションとなります。

理学療法士も対象者を選ぶことなく、多方面で活躍しています。主なフィールドとして整形外科分野、脳血管疾患分野、高齢分野、障害分野・高齢者分野などがあります。近年ではより健康でありたいというニーズに応えるフィットネス・健康分野、介護予防分野にも進出しています。

理学療法士になるには

では、実際に理学療法士の資格を取るための流れについて説明します。

理学療法士の国家資格

理学療法士になるためには、国家試験に合格する必要があります。国家試験を受けるためには受験資格が必要で、「理学療法士の養成校を卒業または卒業見込みであること」とされています。そのため理学療法士になるためには、必ず養成校に入って卒業する必要があります。

理学療法士の養成校

養成校は全国にあります。大学・短大・専門学校があり、修業年限は3年または4年となっています。卒業に必要な単位数は3年制でも4年制でも変わりはありませんから、3年制の学校の方が長期休みが短かったり、土曜日も学校があったりとスケジュール的にはタイトとなっています。

学校選びのポイントとしては、まず自分にあった修業年限を選びましょう。社会人の方は、スケジュールがタイトであっても、一年間分の学費が不要でより早く働ける3年制の学校の方が良いかもしれません。また、勉強に自信がない現役生であれば、大学の4年間をかけてじっくりと身につけることを優先すべきかもしれません。ひとりひとりのスタイルによっても変わります。また学校の雰囲気にも違いがありますから、学校を選ぶ際にはなるべく多くの候補を実際に自分の目で確かめて決めることをおすすめします。

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作業療法士との違いは?

同じリハビリテーションの専門職には、作業療法士という資格もあります。似ているようですがこの二つは全く別々の資格です。理学療法士である人が作業療法士になりたい場合、もう一度作業療法士の養成校に入りなおすところから始める必要があります。

理学療法士と作業療法士は、国家資格としての歴史の長さも同じです。しかし、それぞれに特徴があります。

法律で定められた定義としては、理学療法士が「基本的動作能力の回復」を目指すとされており、作業療法士は「応用的動作能力と社会的適応能力の回復」を目指すとされています。人間が生きていく中での基本的な動作(起きる、座る、立つ、歩く)などについては、理学療法士の専門領域であると言えます。作業療法士の応用的動作能力は、「手を使って何かをする」「服を着る」、「道具を使う」など、より生活場面で必要な動作の訓練がメインとなります。

しかし、両者の境界線はときに曖昧な部分もあります。大規模な病院であれば明確な分業がなされている場合もありますが、介護施設のように理学療法士と作業療法士を区別しない場合もあります。そのような職場で自分一人が働いているとすれば、理学療法士であっても作業療法士の領域のリハビリを行う場合もありますし、その逆もありえます。

理学療法士と作業療法士の違いについてはこちらの記事も参考にしてください

理学療法を受けたいひとは?

では、理学療法を受けたい場合はどうすればいいのかを解説します。

理学療法士が行う理学療法(作業療法、言語聴覚療法についても同じです)は、「診療の補助」であり、「医師の指示のもとで行われるもの」です。また、理学療法を必要とする「疾患」があることが条件です。そのため、理学療法士から理学療法を受けるためには医師からの処方箋が必要となります。

医師がいるところは病院などの医療機関もしくは介護老人保健施設となります。病院であればまずは受診して医師の診察を受けましょう。医師が必要と判断すれば、その医療機関に所属する理学療法士からの理学療法が受けられます。老健についても同様で、医師の指示のもとで理学療法士からの理学療法は提供されます。

理学療法自体は、実は誰でも行うことができます。低周波治療などの物理療法の機器は、取り扱いに免許は不要です。しかし、理学療法士以外から理学療法を受ける仕組みは、日本においてはほとんどありません。

終わりに

理学療法士は関わった患者さんやご利用者さんを笑顔にできる、やりがいのある仕事です。働きながら自分自身も日々成長することができます。作業療法士と比べてどうこうというつもりはありません。どちらも高い専門性を持ったリハビリテーションのプロです。

今、理学療法士を目指そうと考えている方には、「作業療法士のことはよく知らなかった」という方もいるかもしれません。初めからどちらかに決め付けるのではなく、自分の目指すプロの姿を想像しながら、じっくりと時間をかけて進路を決めていただけたら、と思います。

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