- 記事の執筆者:久留米リハビリテーション学院 教務部長 大坪健一
- 記事の監修者:久留米リハビリテーション学院 作業療法学科 学科長 岡 大樹
理学療法士という「資格」を女性の武器に!
将来どのような仕事につくか、早い人では高校生くらいから具体的に意識し始める方もいると思います。自分のスキルを活かしてやりがいのある、そんな仕事は魅力的ですよね。
でも実際は、何十社もの企業の就職試験を受けたり、なかなか希望の就職先が見つからず就職浪人の道を選ぶ・・・なんていう方もいるようです。
特に女性は、就職してから結婚や出産を経験される方が多くいるでしょう。そのため、職場を離れる確率が男性よりも高いとみられているのが一般的です。そうなると、長期間働いてほしいと考えている採用側も、女性の採用には慎重にならざるを得ないのは仕方ない面もあると思います。
一方で、いまだに就職活動で強みになるのは、やはり「資格」が大きいと思います。さらに高齢化社会が加速している今、医療・介護の業界は男女問わず人材の需要が高い状態が継続しています。そのため理学療法士の資格があれば、希望する分野の医療・福祉施設へ就職できる確率が比較的高い業界でもあるのです。
そこで今回は、女性の私が理学療法士の職種を選んでよかった、と思えるエピソードをご紹介したいと思います。
1.女性ならではの気遣い・細やかさが活かせる
理学療法士は患者さんのリハビリを行うことが主な仕事です。患者さんやそのご家族と関わる際、そこにはまず「人と人とのやりとり」が存在します。心身に障害を持ち、気持ちが落ち込んでいるところで、セラピストは患者さんやそのご家族の輪に加わっていく必要があるのです。
患者さんにとってリハビリとは、楽しいことだけではありません。信頼できる相手(セラピスト)だからこそ、患者さんのモチベーションがアップするという場面を幾度も目にしてきました。
まず患者さんと良い人間関係を築くため、言葉遣い・ちょっとした気遣いについては女性ならではの配慮ができると考えています。優しい声掛け、入院患者さんの場合はリハビリ以外の時間にも訪問して悩みを共有するといった簡単なことでも、不安を多く抱えている患者さんにとっては支えになることが多いようです。
そういった女性ならではの細かい心遣いは、理学療法士として働くうえで大切なスキルとなり得ます。
2.産休・育休制度が充実している施設が多い
医療・福祉関係の施設では多くの女性スタッフが活躍しています。昔よりも男性の比率は高くなったとはいえ、やはり病院などでは女性看護師が多くみられますよね。そういった背景から、全体として産休や育休制度がしっかり整っている施設が多いように感じます。仕事同様、プライベートも大切です。出産や育児は女性のライフイベントでも素晴らしいもののひとつだと思います。出産・育児のために休みが必要になっても、産休や育休制度を使えば経済面でも助かりますし、職場へ戻りやすい雰囲気もあります。
私が働いていた職場には20人ほどの女性リハビリスタッフがいましたが、産休・育休制度を利用している既婚女性は何人もいました。復帰後も時短制度で早めに勤務を終えたり、院内にある託児所を利用できるなどのメリットもあったようです。「母」となって戻ってきたスタッフはどこか一回り成長していて、仕事はもちろんそれ以外の場面でも頼りになった経験があります。
また理学療法士は夜勤業務がないところがほとんどです。勉強会など行う施設もありますが、勤務後のプライベートを充実させる時間も持てる職種といえます。
3.たとえ離職しても、再復帰しやすい業界である
なかには結婚を機に引っ越しが必要になり、それまで働いていた職場を離れなければならない方もいるでしょう。
しかしどの地域でも医療・福祉関連の求人は多いようです。働く施設の分野の違い(たとえば病院と老人ホームでは利用者のニーズも多少異なってきます)はあれど、理学療法士としてのスキルを持っていれば、わりとスムーズに次の職場にも順応できると思います。同じ分野でそれまでの経験を存分に活かすも良し、新しい分野にチャレンジしてスキルと知識の幅を広げるも良しとメリットも多いのです。
結婚などのライフイベントがなくても、自分の知識やスキル向上のために部署を異動したり、他施設へ転職するセラピストは少なくありません。そういった動きに対して理解が得やすいのも特徴のひとつといえそうです。
仕事もプライベートも充実した理学療法士を目指そう!
理学療法士になるには大学・専門学校の受験から学生生活での日々の勉強、さらに国家試験を乗り越える必要があり、決して簡単なものではないと思います。
それでも日々を過ごしていくうえで「自分がどんなセラピストになりたいのか」を考えていけば、きっと自分が進みたい方向が見えてくると思います。
「人の助けになりたい、仕事もプライベートもきっちりこなしたい」そんな女性がたくさん活躍している現場が、やる気のあるセラピストを待っていますよ。