リハビリ臨床実習に必要な能力とは
 

必要な能力は自分で身に付ける

わたしは作業療法士として総合病院と精神科病院に14年間勤務し、現在は介護施設の通所リハと短期入所を担当しています。病院に勤務しているときは、実習期間には常に学生がいましたし、今でも、見学希望や自主的な実習を受け入れています。そうやって、たくさんの学生を見ていると、臨床実習に最低限必要な知識は、どの学生も持っています。

でも、必要な能力の方は学校の勉強だけでは身に付きません。

ここでは、自分で身に付けてきてほしい能力と求め方を3つ書きます。

1.誰にでも話しかける活発さ

学生は、臨床実習の成果として、最後にレポートを持って帰ります。実習に出る前に、レポートの書き方は、学校で習った通りに項目を並べて書いてくれたら、だいたい大丈夫です。もっとも、各項目の内容については、バイザーが情報不足考察不足の指導をします。

臨床実習は学校で得た知識を、実際の対象者さんの抱える問題解決に結びつけるために行うものです。最初は浅くしかできない考察も、バイザーの指導を受けながら実習期間を過ごすうちに深くなります。

ですが、指導を受ける前、レポートを作成する前に、対象者さんを評価をするための情報が必要です。ご本人からとご本人をサポートするスタッフから得なくてはなりません。

このときに、実習施設という馴染みのない場所で、馴染みのないスタッフさんたちに話しかけて、情報集めをしなければならないのです。忙しいスタッフさん達に話かけるタイミングを計るのも、どれくらいの時間をいただけるのか判断するのは難しい。人見知りの激しい人なら、なおさらです。

話すのが苦手な人は、誰とでも話ができる能力を身に付けられるように、日頃から練習しておきましょう。

2.話しかけてもらえる親しみやすさ

学生の中には、臨床実習に出て初めて「障がい者」に会う人がいます。これには、バイザーのわたしのほうが驚いてしまいました。

対象者さんたちは、体や精神が自由に動かないだけで、特別ではありません。普通にあいさつをするだけなのに、学生の方がコミュニケーションにとまどってしまい、対象者さんが話しかけにくい雰囲気を作ってしまうのです。そんなときには、バイザーが間に入って話のきっかけを作りますが、対象者さんに気を使わせてしまいます。

臨床実習に出る前には、知り合いのつてやボランティアなどで多くの病院施設を見学もしくは自主実習をして、病院施設の雰囲気や患者さんたちの様子に慣れていてください。対象者さんに気を使わせない、話しかけてもらえる能力は、臨床で貴重です。

3.すぐに調べる習慣

臨床実習の評価とリハ計画レポートでは、学校で得た知識に基づいて、目の前の対象者さんの抱える問題と解決法を考えます。分からないことだらけです。

そもそも、学生にとっては、スタッフたちが日常会話に入れる医療系の専門用語も難しい。どんな小さなことでも、すぐに調べる習慣をつけましょう。

分かればそれだけ知識が増えます。もし、それが学校で習っていたことだったとしたら、スムーズに考察へつなげられます。この調べる習慣はリハ専門職である限り必要な能力です。

常に調べて知識を少しずつ増やし、考えを深めることで、対象者さんに、より効果的な機能訓練とサポートができるようになります。調べやすいように、教科書やノートのどこに情報が載っているかと、正確な情報が載っている医療サイトを、把握しておきましょう。

大丈夫!誰でも元は学生でした

臨床実習に出る学生は、先生が臨床実習に出ても大丈夫な知識を持っていると判断した学生です。でも、それは、ほんの入り口の知識です。

能力となると、入り口以前の問題になります。

こうやって、「実習に必要な能力」なんて偉そうに書いているわたしも、元は、人見知りが激しくて対象者さんに気を使わせてしまう、できの悪い学生でした。おまけに知識もありませんでした。

でも、国家試験を通って就職してしまえば、リハビリの専門家です。臨床実習でやった通りに、必死でコミュニケーションをとり、調べ物をして、他スタッフとともに、対象者さんが思い通りの生活を送れるようにサポートをしました。

臨床実習で、その習慣が身についたことは本当に良かったと思います。

だから、実習生には「誰にでも話しかける」「話しかけてもらえる」「調べる習慣」の3つの能力を求めます。

これから実習に出る学生さん達、いい実習をして、素敵なリハビリの専門家になって下さい!

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