理学療法士として海外で働くためには

理学療法士を目指そうとお考えの方の中には、将来的には国際的に活躍できる理学療法士になりたい!と思っている方もいるかもしれません。

理学療法士は医師や看護師と同じように、世界各国に存在している資格です。資格を取ってからも腕を磨き、技術や経験を高めて海外で活躍することも夢ではありません!

 

理学療法士になって海外で働くためには

海外で理学療法士になるための3つの選択肢

理学療法士として海外で働くためには、大きく分けて3つの方法があります。1つめは、まず日本で理学療法士の資格を取り、その後に海外に出て各国の資格を取得する方法、2つめは、直接各国の理学療法士資格を取得する方法です。最後の3つめは、青年海外協力隊などのボランティアスタッフとして海外に行く方法です。

現時点で理学療法士ではない方はどの方法を選んでもOKですが、その国で長く暮らした経験があって、言葉にまったく不自由しないという方でない限り、直接その国に行って資格を取るというのは現実的ではありません。まずは日本の理学療法士資格を取得したほうがよいでしょう。

まず日本で理学療法士の資格を取る

日本国内で理学療法士の資格を取るためには、国家試験に合格する必要があります。理学療法士の国家試験は、養成校を卒業または卒業見込みであることが受験資格です。そのため、独学で勉強しても資格を取ることは不可能です。必ず理学療法士の養成校を卒業しなければなりません。

日本国内には263校の理学療法士養成校があります(平成29年9月現在の数字。募集が終了している学校も含む)。

養成校には大学・短期大学・専門学校の3種類があります。近年は大学で理学療法学科を設けているところが増えてきていますが、養成校全体の6割は専門学校です。

養成校ごとに修業年数が異なり、短大や一部の専門学校では3年間、大学や専門学校では4年間で卒業することができます。

晴れて日本国内の理学療法士資格を取得すれば、国内では理学療法士として働くことができます。理学療法士の勤務先には、病院やクリニックだけでなく、介護保険施設もあります。近年では介護予防やフィットネスの分野にも活躍のフィールドが広がりつつあります。

ただし、海外で理学療法士として働きたい場合には日本で理学療法士資格を取るだけではだめです。日本も含め、各国の理学療法士免許はその国だけでしか使えません。違う国で働きたい場合には、その国で有効な理学療法士免許(登録)が必要です。

主な国々で理学療法士として働くには

では、日本で理学療法士となったあとに、世界の主な国で理学療法士として働くためにはどうしたらよいかをまとめてみましょう。

(1) イギリス

イギリスでは、日本の理学療法士の免許を持っている場合、審査を受けて合格することで理学療法士として働くことができるようになります。審査を受けることは日本国内でも可能です。

厚生労働省に依頼して日本国内の理学療法士免許を英訳してもらうことや、卒業した養成校から取得した単位についての情報提供を受けることなど、かなりの事務手続きがあり、準備には十分な時間が必要です。また審査にも2ヶ月程度の時間を要します。

また忘れてはならないのが「英語力」です。英語圏への留学を目指す人のための英語力認定試験であるTOEFLで、120点満点中100点が必要です。

TOEFLのホームページでは、アメリカの大学院への留学に必要な点数が80点とされていますから、イギリスで理学療法士として働くことのレベルの高さが伺えます。

詳しくはHCPC (Health and care professions council)というイギリスの専門機関のホームページを確認してください。ページを翻訳すれば概要は理解できます。

イギリスでの理学療法士の仕事内容は日本と大きな変わりはなく、初任給も同水準です。しかし、日本国内で認められていない「開業権」があることが特徴です。自分自身のクリニックを開業し、患者さんを集めることができます。

(2) アメリカ

アメリカで働くためには、州ごとに理学療法士の免許が必要になるという大きな特徴があります。他国の理学療法士資格を持つ人がアメリカ国内で働く場合も、州によって取り扱いが大きく異なるため注意が必要です。また当然ながら英語力が求められます。

審査を受けるための手続きは、FCCPT(物理療法に関する外国資格審査委員会)に依頼することができます。こちらも日本語のホームページから確認することができます。

アメリカで理学療法士資格を取得することと同等水準の知識や能力を有しているかが問われます。アメリカの場合も事務手続きが多く、準備には十分な時間が必要です。

アメリカでは理学療法士は比較的ステイタスの高い職業とされています。開業権がありますので、自分自身でクリニックを開くことで収入面でも期待できそうです。しかし、実力主義であり訴訟社会の国ですから、きちんとした成果が出せる理学療法士でなければいけません。

(3) オーストラリア

オーストラリアでは、海外から理学療法士として働きたい人への審査をオーストラリア理学療法士理事会という組織が行っています。

日本の理学療法士免許を持っている場合、審査を受けて合格することで理学療法士として働くことができるようになります。審査内容については、アメリカと同様にオーストラリアの養成校卒業と同程度の能力や知識があるかどうかです。こちらもホームページを日本語に翻訳すれば概要を確認できます。

オーストラリアは理学療法の世界においては先進国のひとつであり、各国の理学療法士が働いてみたいと思う人気国です。求められる英語能力もかなり高いようです。

ボランティアとして海外に行くこともできる

ここまで読まれた方の中には、「海外で理学療法士をするなんて無理か・・・」と思った方もいるかもしれません。ですが、まだあきらめずに最後の3つめの方法もぜひ読んでみてください。その方法はボランティアとして海外で働くという方法です。

「理学療法士 海外インターン」と検索すると、各国で理学療法士として働くことを斡旋してくれる団体が見つけられます。参加にあたっては滞在費や旅費などの費用が必要となります。ボランティアなのでお金はもらえません。それでも一ヶ月程度の短い期間から海外で働く経験が出来ると考えれば、有意義と言えそうです。職場の理解が得られれば、仕事をやめずに短期間海外で働くこともできるかもしれません。

国ごとに必要とされる仕事が異なります。病院勤務のサポートであったり、訪問診療であったりと様々です。興味のある分野を選べるのもいいですね。

そして忘れてはならないのが、JICAが行っている「青年海外協力隊」です。青年海外協力隊は、様々な専門職が開発途上国に出向き、2年間自分が持っている知識や技術を現地の人たちに伝えて現地のレベル向上を目指すための制度です。

派遣される専門職の中には理学療法士も含まれています。派遣先はアジアやアフリカなどで、それぞれの国で求められる役割が異なります。また、参加にあたっては実務経験が必要です。そのため、まずは日本国内で理学療法士となって経験を積んでから参加することとなります。

青年海外協力隊もボランティアであるため無償ですが、滞在期間中の生活費はかかりません。また手当が支給されることもあり、一般的には「参加している間に貯金ができる」とも言われています。

留学生として海外に行くこともできる

海外で働くこととは少し違うかもしれませんが、番外編として、「留学」についても取り上げておきます。養成校によっては、交換留学などの取り組みを行っているところもあり、海外の医療現場を見る機会が得られるかもしれません。

また、理学療法士として就職してからも、職場から派遣されて海外で経験を積むことができるかもしれません。国際的なネットワークのある大学病院や、母体が海外にある医療機関の方がチャンスがあると言えそうです。

まとめ

理学療法はリハビリテーション医学から発展してきました。リハビリテーションは、元々をたどると戦争で負傷した兵士の身体機能の回復のために研究された医学で、理学療法士も傷病兵のリハビリを担う職業としてスタートした歴史があります。

日本でも年々認知度が高まってきていますが、海外では理学療法士という職業が日本よりもより身近で、より頼られる存在である国も多くあります。

いずれは海外で働いてみたい!という夢は、理学療法士になることでも叶えられます。理学療法士は、誰かが元気になることのお手伝いをする仕事です。その時に患者さんが見せてくれる笑顔は全世界共通です。

誰かの役に立つ仕事がしたいという方には、ぜひおすすめしたい魅力ある職業です。日本だけでなく世界のどこかでも誰かを笑顔にできる理学療法士を目指してみませんか?

 

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