大学を卒業してから理学療法士・作業療法士になるためリハビリ専門学校に入学するという人は多くいます。
理由は人それぞれだと思いますが、理学療法士や作業療法士という仕事を在学中に知って興味を持った、大学生活の中で自分が社会人としてやりたいことが見つけられなかったなどの理由が多いように思います。
私自身も同じような理由で大学を卒業後にリハビリ専門学校に通って理学療法士になりました。私が感じる大学卒業後に理学療法士・作業療法士に再チャレンジすることへの意義と心構えについて説明します。
- 記事の執筆者:久留米リハビリテーション学院 教務部長 大坪健一
- 記事の監修者:医療法人八女発心会 姫野病院 整形外科医 姫野信吉
1.理学療法士・作業療法士の専門学校は再チャレンジに向いている。
理学療法士・作業療法士という職業は大学を卒業した人の再チャレンジに向いている職業だと思います。日本は高齢化社会を迎えており、理学療法士や作業療法士の需要の増加が期待できるからです。一般企業と比べると医療や福祉の現場は就職しやすい状況ということが出来ます。
広い範囲を学ぶ大学とは違い、理学療法士や作業療法士の専門学校は目的がはっきりとしています。一番の目的は国家試験に合格し、理学療法士や作業療法士の国家資格を取得することです。目的がはっきりしているため、高いモチベーションで勉強をがんばることができます。
また、理学療法士や作業療法士は患者を元気にすることが仕事のため、自分が社会の役に立っていることを実感しやすく、やりがいを感じやすい仕事です。多くの人を元気に出来るような理学療法士・作業療法士になろうと努力することができます。
再チャレンジする人にとっては、もう失敗できないという気持ちが強いはずです。目的がはっきりとしている理学療法士や作業療法士の学校を選択することには大きな意義があるといえるでしょう。
2.大学で学んだことは実は無駄にはならない
大学卒業後に専門学校に通うことで大学で学んだことが無駄になってしまうように感じるかもしれません。確かに大学で学んだ専門的な知識が理学療法士や作業療法士の仕事に直接関係するかはわかりません。
しかし、大学では物事を論理的に考えることや、多くの人と協力して何かを成し遂げること、自分の考えをまとめて発表することなど多くのことを学びます。今ではどの大学でも必修といえる情報処理の能力も理学療法士や作業療法士にとって大きなプラスになります。
またアルバイト経験がある場合には、職場での人間関係や接客、実用的な経済の知識などを学ぶことができ、医療現場における他職種との協力や患者との接し方、自分が行なっている仕事の収益に関する理解などにつながります。
年齢のことを気にする人も多いですが、実際に入学してしまえば周りの人はそれほど気にしません。すぐに環境になれ、現役の人たちとも仲良くなることが出来るでしょう。
理学療法士や作業療法士という仕事は人を相手にする職業です。そのため、専門的な技術だけでなく、人生経験が大きく仕事に関係します。長く生きてきたことで人の気持ちがわかるようになり、患者の立場に立ったリハビリテーションが出来ればこれまでの経験には大きな意義があるといえるでしょう。
3.再チャレンジの人に必要な心構え。即戦力になれるようなPT、OTを目指そう
学校で学ぶことは非常に多いです。そのため、現役の学生は勉強についていくのがやっとであり、定期テスト合格が目的の勉強になってしまいがちです。
大学を卒業した人が同じようなことをしているようでは、物足りないと感じませんか。大学で勉強してきた人は効率のいい勉強方法をわかっているはずです。テスト前に一気に勉強するのではなく、こつこつと勉強していくことが大事です。
また単に知識を暗記するのではなく、しっかりと理解することで実用的な知識にかえていくことが重要です。実際の医療現場に出たときにどのように活用するのかを常に考えておくと、他の学生と大きな差をつけることができます。このような勉強が実践出来た人は3年生や4年生で経験する臨床実習で確かな手ごたえを感じることが出来るはずです。
最後に
大学を卒業して再チャレンジする人には、理学療法士や作業療法士を一生涯の仕事にするぞという心構えで臨んでほしいと思います。リハビリテーションの分野は非常に奥が深い分野であり、生涯をかけて学ぶ価値があります。自分自身の成長は患者に対する治療効果につながるため、自分に実力が身につくほど仕事は面白くなっていくでしょう。
大学で学んだことは無駄にはなりません。経験を生かして患者の気持ちがわかる優しい理学療法士や作業療法士になってほしいと思います。