自分が将来どのような職業につくべきか悩んでいる学生さんは多いのではないでしょうか。理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の仕事に興味がある人のために、一般職(民間企業)と医療職の違いについて説明し、理学療法士や作業療法士という仕事のメリットや、やりがいについて説明します。
- 記事の執筆者:久留米リハビリテーション学院 教務部長 大坪健一
- 記事の監修者:医療法人八女発心会 姫野病院 整形外科医 姫野信吉
1.一般職(民間企業)と医療職の違い
民間企業の一番の目的は利益を出すことです。そのため、民間企業に勤務した人に求められるのは会社の利益を上げることです。ヒット商品を開発することや、営業でたくさんの商品を販売すること、顧客が満足するサービスを提供することなど方法は様々です。会社での自分の評価はいかに利益に貢献したかどうかであり、その成果が給料に反映されることになります。
医療の現場においても利益をあげることは非常に重要です。黒字経営でないと安定して病院を運営していくことは出来ないからです。しかし、理学療法士や作業療法士などの医療職にもっとも求められるものは利益ではありません。
大事なのは患者の病気を治療し、元気にすることです。医療職が相手にするのは健常者ではなく、病気で苦しんでいる患者です。その患者の苦痛を取り除き、元気に社会復帰できるようにするのが医療職の一番の目的になります。
良い治療を行う病院には当然患者が集まります。すると病院としても利益を上げることが出来るため、経営は安定します。
理学療法士や作業療法士などの医療職のメリットは病院の利益よりも患者が元気になることを最優先に考えて仕事が出来るということです。患者が元気になって退院していくことや、患者から「ありがとう」と感謝されることは大きな喜びであり、この仕事の一番のやりがいです。
2.医療職は生涯続けられる仕事。やりがいをもって自己研鑽ができる
現在の日本は終身雇用制が崩壊し、民間企業では非正規雇用が増え、リストラが多く行なわれています。民間企業からの年配者の再就職は難しい場合も多く、社会問題としてとりあげられることも多くなりました。
理学療法士や作業療法士などの医療職の場合は民間企業で働いている人と違って、転職や再就職がしやすいというメリットがあります。
一番の理由は理学療法士や作業療法士という職業が国家資格だからです。専門性が高い職業のため、代わりの人材の確保が難しく需要が多いのです。理学療法士や作業療法士が急にやめてしまった職場では即戦力で働ける人が必要になります。その様な職場からの求人では年配者であることは決してマイナスではなく、経験豊富なことを評価してもらうことができます。
民間企業の場合は職場がかわると仕事内容が大きくかわる場合が多いため、前職での経験をすべて生かすことは難しいでしょう。PTやOTといった医療職の場合は、職場によって仕事内容に大きな差が無いため、今まで積み上げてきた知識や技術を次の職場で生かすことが出来ます。そのため即戦力として活躍することが出来るのです。
自己研鑽によって蓄積してきたことはすべて自分の将来につながるため、やりがいをもって新しい知識や技術の習得に取り組めるというのもPTやOTのメリットということが出来ます。
3.高齢化社会における需要の向上。社会問題に大きく貢献できる。
ITの普及や日本人の高齢化が原因となり、規模が縮小している産業は非常に多いです。そのような中でも安定した需要があるのが医療職です。日本は超高齢化社会を迎えており、医療や介護が必要な人口が増えていくことは間違いありません。そのため、PTやOTへの需要は今後も増えることが予想され、就職先も増えると考えられます。
医療費の増加や要介護者の増加は日本の根幹を揺るがすような大きな問題です。実はPTやOTが行なうリハビリテーションはこれらの問題に大きく貢献することができます。医療におけるリハビリテーションは早期離床、早期回復を促して患者の入院期間の短縮につながります。また介護分野でのリハビリテーションは要介護者の介護量軽減につながり、介護費用を減らすことが出来ます。国の大きな社会問題に貢献できることは大きなやりがいということができるでしょう。
リハビリの仕事は、生涯続けられてやりがいを感じられる仕事
一般企業は自分の実力次第で高い給料をもらうことができるという魅力があります。
一方で理学療法士や作業療法士といった医療職は安定した職業であり、資格を取得することで生涯続けていくことが出来る職業です。自分の頑張りが患者の回復につながるため、生涯やりがいを感じながら働くことができる職業といえるでしょう。