公務員と理学療法士 どちらが安定した職業?国家資格と公務員の特徴とメリットを比較しました

安定した職業を希望し、国家資格である理学療法士と公務員のどちらを目指すのかで悩んでいるという人は多いのではないでしょうか。

それぞれの仕事の概要や国家資格の種類を説明し、理学療法士が公務員として働くことができるのかについて言及します。

 

安定しているのは公務員?国家資格?

実際に職業として安定しているのは公務員なのでしょうか、国家資格である理学療法士なのでしょうか。それぞれのメリット・デメリットを説明します。

公務員のメリット

①福利厚生がしっかりしている

公務員を採用しているのは国や市などの自治体です。民間の手本となる意味合いからも福利厚生はしっかりとしています。各種手当や年金がしっかりとしているほか、定期的な健康診断など健康面のサポートもあります。子育てや介護支援に対して寛容な職場も多いです。

②終身雇用が約束されている

雇用主は国や自治体のため、民間企業のようなリストラや倒産による失職はありません。よほどの理由がなければ解雇されることはないでしょう。

③利益中心の仕事をする必要がない

民間企業ではないため仕事のノルマがなく、職員間でのぎすぎすとした人間関係は少ないです。

公務員のデメリット

①合格するのが非常に難しい

公務員になるためには、公務員試験に合格しなければなりません。競争倍率も高く就職浪人となる人は多いです。

②給料は徐々に低下してきている

公務員の給料は実は徐々に低下しています。この傾向は公務員全てに共通しており、年収が100万円以上低下している職種もあります。

昇給に関しても年々給料が着実に上がっていくという考え方は現在では通用しません。給料が下がることはありませんが、低い水準で安定しているというのが実情です。

③部署によっては一般企業よりも忙しい

公務員の仕事は楽だというイメージがあるかもしれませんが、実際は部署によって違います。県の本庁勤務や国家公務員の仕事が忙しいというのは一般的にも知られています。

④理想とのギャップがあり、精神的にきつい仕事が多い

高尚なイメージをもって公務員になったにもかかわらず、世の中の役に立っていることを実感できずに仕事にやりがいを感じることができない人は多いです。住民からの風当たりが強いこともあり、クレーム対応を強いられることも少なくありません。

理学療法士のメリット

①国家資格であり、一度資格を取得すると失うことはない

理学療法士の免許は更新制ではないため、一度取得すれば一生の財産となります。正社員としてはもちろんのこと、パートや契約社員としても働くことができ、資格を持っていれば定年まで仕事に困ることはありません。

②全国の病院や介護施設が職場であり、就職先が多い

理学療法士の主な勤務先は病院や介護施設です。病院や介護施設は全国のどの地域にもあるため、好きな地域に就職することが出来ます。職場に不満がある場合は、転職することも可能です。大きな医療機関では託児所が完備されているところもあり、育児休暇や産休に関しても寛容な職場が多く、子育てをしながら働くことが出来ます。

③人を元気にするやりがいのある仕事

理学療法士の仕事はリハビリテーションで病気や介護が必要な人を元気にするのが仕事です。そのため、元気になった患者や家族から感謝されることも多く、人の役に立っていることを実感しやすい仕事です。

理学療法士のデメリット

①理学療法士の人数が増加したことで個人の実力が重視される

養成学校が増えたことによって理学療法士の人数は年々増加しています。そのため、今後は理学療法士の分野も実力社会となることが予想されます。

②勉強会や研修会が多い

医療職に共通していることですが、勉強会や研修会が多いです。理学療法士になる人は常に新しいことを学ぼうとする意欲が必要でしょう。

③高い給料は期待できない

医療や介護の現場には税金が投入されているため、あまり高い給料は期待できません。専門性が高い仕事のため、ある程度の給料は保証されており、生活に困るということはありません。

医療関係の国家資格の例

医療系国家資格には多くの資格があります。それぞれの資格の概要と難易度を簡単に紹介します。

①理学療法士

歩行練習などの運動療法や、電気や温熱などを用いた物理療法を用いてリハビリテーションを行ないます。養成学校を卒業し、国家試験に合格することで取得できます。国家試験合格率は過去5年間で74.1%~90.3%(平成24年度から28年度)となっています。

②作業療法士

入浴や食事といった日常生活動作や、手工芸や園芸などの作業活動を通じて心身のリハビリテーションを行ないます。理学療法士と同じリハビリテーション系の資格ですが、リハビリテーションの手法が異なります。資格取得方法は理学療法士と同じで、国家試験合格率は過去5年間で77.3%から87.6%(平成24年度から28年度)となっています。

③言語聴覚士

言葉や聴覚によるコミュニケーション障害や、食べ物を飲み込む嚥下障害に対するリハビリテーションを提供します。近年の国家試験合格率は65%前後となっています。

④看護師

病気や怪我で入院している患者のケアや医師の診療の補助を行ないます。看護系の学校を卒業し、国家試験に合格することでなることができます。看護師国家試験の合格率は約90%となっています。

⑤薬剤師

薬剤師は医薬品全般の知識を持つ「薬の専門家」です。医療機関や薬局に勤務し、処方箋に基づいた調剤や患者への医薬品説明、医薬品販売を行ないます。大学の薬学部(6年)を卒業し、薬剤師国家試験に合格することでなることができます。国家試験合格率は過去5年間で60.8%から79.1%平成24年度から28年度)となっています。

いずれの資格も養成学校での厳しい授業や実習をクリアした人が国家試験を受験しています。そのため、国家試験の合格率と難易度は比例していないことに注意することが必要です。

理学療法士の将来性

理学療法士の仕事はこれからどうになっていくのか、理学療法士の将来性について考えてみましょう。

①給与

高い専門性の割りにはもらえる給料はそれほど高くはありません。しかし、国家資格であることから給料の安定性は高く一定水準以上のレベルは保証されているといえます。

努力次第でキャリアアップすることが可能であり、管理職をまかせられるようになれば高い給料をもらうことも可能です。

②安定性

全国の病院や介護施設に就職できるため、仕事は確保しやすい状況です。通所リハビリテーションや訪問リハビリテーション、スポーツ分野など活躍の場は広がってきており、今後も理学療法士には安定した需要があると考えられます。

③職場環境

職場環境は病院や施設によって全く異なります。残念ながら人間関係がうまく行っていない職場もあります。医療や介護の仕事は報告や連絡が大事なため、人間関係が悪い職場はストレスがたまります。就職する際は見学をしっかりと行い、職場の雰囲気を確認することが大事です。

④体力面

多くの患者を担当することや寝たきりの患者を担当することも多く、体力は必要です。しかし、ある程度は理学療法士としての技術でカバーすることが可能です。患者の能力を生かした介助が出来るようになればそれほど力は必要ではなく、若くなければ仕事ができないということはありません。

理学療法士として公務員になることはできるのか?

理学療法士として公務員になることはできないのでしょうか。実は理学療法士は公的な施設に勤務することで公務員となることが出来ます。

理学療法士として公務員になるには

理学療法士が国や市町村の自治体が運営する医療機関や障害者施設、保健所などに勤務した場合には、公務員として扱われます。市町村が運営する施設に就職すれば地方公務員になりますし、国が運営する施設に就職すれば国家公務員となります。

全国に多くある国立病院機構は2015年より非公務員となりましたが、現在でも公共性が高いことに変わりなく、公務員に準じた待遇を受けることができます。

理学療法士が公務員になるための試験は?

公務員になるためには、公務員試験をクリアする必要がありますが、理学療法士から公務員になる場合にはその必要はなく、それぞれの施設が行なう試験に合格すればなることができます。

国や自治体が運営する病院や施設は運営がしっかりしており、職員に対する待遇は安定しています。福利厚生はもちろん、昇給がしっかりとしているため、長く勤務することで着実に給料は上がっていきます。人気は高いですが、公務員試験の競争倍率と比較すれば就職しやすい状況と言えるでしょう。

まとめ

安定性を求めるのであれば、理学療法士の資格を取得し、公的な医療機関への就職を目指すという方法があります。公務員は職場をやめてしまうと転職が難しくなりますが、理学療法士は全国に就職先があります。その点で理学療法士は公務員よりも安定性が高い職業と言えるでしょう。

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