病院や介護施設が多い理学療法士の就職先では必ず面接試験が行なわれます。面接経験が少ない学生の中には、「緊張して伝えたいことが伝えられるか不安。」、「どのような準備が必要なのかわからない。」など不安に感じている人も多いでしょう。
ここでは、就職面接に自信をもってのぞめるよう、面接試験の概要と注意すべきポイントについて説明します。
- 記事の執筆者:久留米リハビリテーション学院 教務部長 大坪健一
- 記事の監修者:久留米リハビリテーション学院 作業療法学科 学科長 岡 大樹
理学療法士面接試験のための準備
面接を成功させる為には事前の情報収集が必要です。面接前に行なっておくべき準備について説明します。
①志望する就職先の情報収集
志望先のホームページの内容はすみずみまでチェックし、加えて雑誌や新聞、学校や先輩などから情報を入手するようにします。志望先の特徴は面接の中で話題になることも多いため、しっかりと把握しておくようにしましょう。情報収集の中で疑問に思ったことは、面接の中で質問が出来るようまとめておくようにします。
②面接情報の収集
就職先の面接がどのような形で行なわれるのかを知っておくと安心して本番にのぞむことが出来ます。情報を集めるのは簡単ではありませんが、学校にある情報や卒業生に話を聞くことで情報を収集することが出来ます。
個人面接か集団面接か、どのような質問があったか、どのような場所でおこなわれるのかなどの情報があると、本番に向けた面接のシミュレーションがしやすくなります。
③履歴書の確認
面接は事前に提出した履歴書をもとに質問が行なわれることが多いです。そのため、履歴書に書いた内容はしっかりと覚えておくようにし、どのような質問がされるのか想定しておくことが大事です。履歴書は提出前に必ずコピーをとり、自分の手元にとっておくようにしましょう。
面接での印象をよくするために
人の第一印象は5秒で決まると言われています。短時間で判断される面接において第一印象で失敗すると挽回するのは簡単ではありません。
第一印象の決め手となるのは身だしなみや表情、応対・話し方です。面接前には何度も鏡の前に立ち、客観的に自分がどのように見えるのかを確認し、印象が良くなるように修正を行ないましょう。
①身だしなみ
髪・爪・ひげ・メイク
髪は黒で清潔感がある髪型。女性で髪が長い場合は必ず束ねるようにします。爪は短くカット、ひげはその日の朝にそるようにします。メイクはナチュラルメイクで健康的に見えることを心がけましょう。
服装
スーツは紺かグレーのビジネススーツで、しわや汚れがないように注意します。黒いスーツは喪服をイメージさせるため、避けた方が良いでしょう。シャツのボタンは全部とめ、ネクタイは派手でないものを選び、ゆがみがないことを鏡で確認します。
靴下は紺かグレー、靴はビジネス用の黒の革靴にします。バッグは黒のビジネスバッグとし、床に置いたときに倒れないものが良いです。女性のストッキングは自然な色のものをチョイスし、もしものために予備を持っておくと安心です。
②表情
表情は小さな笑顔が理想です。鏡で自然な笑顔が出来るように練習しておくと良いでしょう。笑顔は明るく元気なイメージを与えるだけでなく、協調性や相手への関心、親しみやすさを感じさせます。医療現場はチームで仕事を行う為、面接官に親しみやすさを感じいてもらい、一緒に働きたいと思ってもらうことが重要です。
③応対の仕方・話し方
面接はドアを開けた瞬間から始まるため、ドアの手前から心の準備をしておきましょう。面接室に入ってからは背筋を伸ばして元気よく席まで歩きます。話し方は敬語を心がけ、相手が聞きやすいボリュームで話すようにします。声が小さいと自信がなく見られ、大きすぎると不自然に見られます。
話をするときは面接官の目を見るようにし、適宜目線をはずして圧迫感を与えないようにします。面接官が話をしているときは、「はい」や「そうですね」などと相槌をうち、相手が話しやすいように心がけます。話しやすい雰囲気が出来ると、相手も質問しやすくなり、会話が弾んで面接はスムーズに進みます。
注意が必要なのは緊張したときに出やすい「適応動作」です。無意識に体の一部をさわったり、動かすなどの動作が適応動作にあたります。貧乏ゆすりや手の頻繁な組みかえ、頭をさわるなどの動作は自信がない印象を与えてしまいます。
これらのことを本番ですべて行なうことは簡単ではありません。鏡で見ながら面接の練習をしたり、ビデオを回して客観的に自分を分析し、修正していくことで面接のスキルは確実にあがっていきます。友人や家族と練習するのも良いでしょう。面倒に感じるかもしれませんが、不本意な結果になるよりはぜんぜん良いはずです。
理学療法士の面接でよく聞かれる質問
理学療法士の面接ではよく聞かれる質問があります。代表的な質問と答える際の注意すべきポイントについて説明します。
①なぜここに入りたいと思ったのか?(志望動機)
志望動機は必ずといってよいほど聞かれる質問です。事前に話す内容をまとめておき、緊張した中でも自然と話せるように万全の準備をしておきましょう。
内容は自分の本当の気持ちを話せば大丈夫ですが、事前の情報収集で得た就職先の特徴を踏まえて説明すると、「この職場で働きたい」という熱意が面接官に伝わり、好印象を持ってもらうことが出来ます。
給料が高いから、残業がないからなど条件面に関することばかりを話すと仕事へのやる気がないと判断されることにつながるので注意が必要です。
②職場に希望することは?
自分の希望を伝えることは良いですが、ほどほどの内容にすることが必要です。面接官はどの程度の要求をする人なのかを確認するために質問している可能性があります。事前情報を参考にし、会社の方針と自分の希望が合致する範囲にとどめておくほうが無難です。会社が希望しないことを希望するのは、職場に合わない人材と判断される可能性が高いです。
③前職ではどのようなことを経験されましたか?
社会人経験がある人は必ず前の仕事について質問されます。やめた理由や、前の仕事で学んだことは必ず聞かれるため、事前に準備しておくことが重要です。
注意が必要なのは、前の職場の悪口を言わないことです。面接官はウチの職場もすぐに辞めてしまうのではないかということを心配しています。ネガティブな理由で前職をやめたのだとしても、前の仕事で学んだことを生かし、新しい就職先でがんばりたいという前向きな気持ちを伝えることが重要です。
面接で質問をするときのポイント
面接官の多くは最後に「何か質問はありますか?」という形で、質問の機会を与えてくれます。質問がなければ、「ありません。」でも良いのですが、積極的に質問することで熱意を伝えることが出来ます。
質問の内容は事前準備の中で疑問に思ったことを質問すればよいと思います。さけたほうが良い質問としては、ホームページなどにすでに書かれている準備不足と思われる質問、ネガティブで自信がない印象を与える質問、お金や待遇に関することなど仕事への興味が感じられない質問などです。それ以外であれば、聞きたいことを積極的に質問して大丈夫です。
理学療法士面接試験のアドバイス
理学療法士の就職試験において面接は大きな比重をしめています。小規模な職場では、履歴書と面接のみで採用を決めることも多いです。面接は事前準備をしっかりと行い、自信をもって望むことが大事です。準備をしっかりとおこなったら、後は自分を大きく見せようとせず、自然体でのぞめば大丈夫です。面接でもっとも重視されるのは人柄です。医療現場はチームで活動する為、協調性があり一緒に働きたいと思える人が好まれる傾向にあります。自分の長所をしっかりとアピールして、希望の職場に採用してもらえるようにがんばって欲しいと思います。
理学療法士の就職状況は一般企業と比較すると恵まれています。仮に失敗してもチャンスはたくさんあるため、積極的にチャレンジしてみてください。