理学療法士になるためには、「理学療法学科」のある大学ないし専門学校へ入学し、所定の単位を修める必要があります。入学から卒業までの間にかかる費用は学校によっても異なりますが、入学金や授業料など、ある程度まとまった費用が必要になることもあります。

そんな時に活用したいのが「奨学金」です。奨学金というと、イコール借金というマイナスイメージを持たれることもありますが、奨学金にも様々な種類が存在しています。それらの特徴を抑えて上手に活用すれば、理学療法士への夢を叶えてくれる心強い味方になってくれるはずです。

奨学金を活用しながら専門学校を卒業し、就職後に全ての返済を完了させた私の経験を踏まえ、理学療法士の奨学金についてご紹介いたします。

 

理学療法士になるために使える奨学金があるって本当?

理学療法士の学校へ進学する場合、やはり気になるのは卒業までにかかる費用です。

ともすれば、入学金や授業料などの学費にばかり目が行きがちですが、勉強のために必要な教科書代、学校までの交通費、一人暮らしを始める場合は家賃や生活費など、思った以上に費用がかかることもあります。そのため、多くの学生が様々な学費支援制度を活用しているというのが実情です。

奨学金

学費支援制度の中で最も一般的で、利用頻度の高いものに「奨学金」があります。奨学金は経済的な理由により進学が困難な学生に対して貸与、または給付されるものです。奨学金の種類によって採用基準や奨学金の額などの条件が異なりますので、自分に合ったものを選択する必要があります。奨学金を申請する際に気を付けておきたいのは、奨学金の受給開始時期です。基本的に奨学金を受け取ることができるのは入学後です。そのため、奨学金を入学金や新生活の準備費用に充てることはタイミングとしては難しいでしょう。

教育ローン

入学準備のためにまとまった費用が必要な場合、奨学金とは別に「教育ローン」を活用するというケースも増えています。教育ローンは、国の教育ローンと、金融機関が取り扱う教育ローンの2つに大別できますが、いずれも奨学金より金利が高くなります。また、お金を借りた翌日から利息が発生し、借りた翌月からローンの返済がスタートするという点も奨学金とは異なるポイントです。額によっては返済する際の利息が大きくなってしまうこともありますので、返済計画をある程度シュミレーションしてから活用したいものです。

奨学金の種類や特徴

理学療法士になるために活用できる奨学金制度には様々な種類があります。利用条件や返済期間、利息などを考慮して、自分の目的に合った奨学金を選択しましょう。

ここでは、理学療法士の学校に進学する方が利用可能な奨学金について、代表的なものを4つご紹介します。

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度

奨学金制度の中で最も知名度が高く、利用者も多い奨学金制度です。JASSOの奨学金には、無利子で貸与される「第一種奨学金」と、有利子で貸与される「第二種奨学金」があります。

第一種奨学金は、進学する学校の種類や通学の状況によって貸与額に違いがあります。

  第一種奨学金 第二種奨学金
利息 無利息 上限3%(在学中は無利息)
貸与月額

【国公立大学】

・自宅通学

30,000円または45,000円

・自宅外通学

30,000円または51,000円

【私立大学】

・自宅通学

30,000円または54,000円

・自宅外通学

30,000円または64,000円

【国公立専修学校】

・自宅通学

30,000円または45,000円

・自宅外通学

30,000円または51,000円

【私立専修学校】

・自宅通学

30,000円または53,000円

・自宅外通学

30,000円または60,000円

30,000円

50,000円

80,000円

100,000円

120,000円

の中から選択が可能。

 第一種、第二種奨学金を申し込む場合、「入学時特別増額」を受けることも可能です。入学時特別増額は、入学した月に通常の奨学金とあわせて貸与されます。入学時特別増額のみの申し込みはできないという点と、貸与時期が入学後であるという点に注意が必要です。

JASSOの奨学金は、他の奨学金とも併用が可能ですので、金額に応じて組み合わせて利用することも可能です。

地方自治体の奨学金制度

都道府県、市区町村などが、地域に根ざす人材を確保する目的で奨学金制度を運営しているケースもあります。多くの場合は無利子で貸与されますが、採用人数は少なく、募集期間も限られていることが多いようです。

貸与金額や採用条件も自治体によって大きく異なりますので、直接自治体に尋ねてみると良いでしょう。

医療法人・病院などの奨学金

人材不足の解消や、優秀な学生を確保する目的で、特定の医療法人や病院が奨学金の貸与を行う場合があります。この場合も無利子であるケースがほとんどですが、貸与条件として、卒業後は奨学金の運営機関である病院等で一定期間勤務することが求められます。奨学金の返済は、給与から天引きされますが、条件によっては返済が免除になることもあります。

もし返済期間中に退職したり、他の医療機関に就職したりする場合は、奨学金を一括で返済する必要が生じることもあります。

学内の奨学金制度

学校によっては、成績優秀者などを対象として、学費の免除や奨学金の給付を独自に行っている場合もあります。これらは返還義務がない場合がほとんどです。対象条件をチェックして、積極的にエントリーしましょう。

理学療法士の奨学金は返済が免除になることがある?!

地方自治体の奨学金の場合、卒業後に一定の条件を満たせば返還が免除になることもあります。条件は自治体によって異なりますが、卒業後に奨学金を受けていた地方自治体の医療機関に就職する、などの条件が多いようです。地元で就職したいと考える方や、あらかじめ希望の就職先が決まっている方には有利な制度です。

また、医療法人や病院などの奨学金も、同様に一定期間勤務するなどの条件を満たせば、返済が免除になることがほとんどです。こ希望の就職先と奨学金の運営母体が一致していれば、非常にメリットの大きい制度です。

理学療法士になってから奨学金は返済できる?

貸与型の奨学金の場合、当然ながら卒業後には返済の義務が生じます。そのため、奨学金を借りる際には、借りる金額だけではなく、返済する金額も頭に入れておきたいものです。

通常の場合、返済時には、毎月決まった額を返済していくことになりますが、ほとんどの奨学金で、あらかじめ生活に無理のない範囲の金額が設定されています。

例えばJASSOでは、返済金額をボーナス時と通常時の2種類設定することができますので、普段の返済額を最小限にして、ボーナス時に多目に返済するということも可能です。

いずれにしても、理学療法士として就職をした場合、毎月安定した給与が見込めるようになりますので、返済は十分に可能です。計画的に繰り上げ返済を行うことで、早期に返還を終えることもできますので、自分のライフプランに合わせて返済を行うことができます。

奨学金を活用した体験談

奨学金を活用した理由

実は、かくいう著者も、学生時代に奨学金を活用していました。むしろ、奨学金がなければ、進学は不可能であったともいえるくらい、奨学金の恩恵にあずかりました。社会人入学生でしたから、自分で学費その他をすべて捻出する必要があったのです。

利用した奨学金

そんな私が利用していたのは、JASSOの第二種奨学金と、地方自治体の奨学金の2つです。

JASSOからの奨学金は主に生活費として利用し、地方自治体からの奨学金は、次年度の学費や教科書代の一部に充てていました。

卒業後、地元に戻って就職すれば、自治体の奨学金の返済義務はなくなるはずだったのですが、在学中にどうしても勉強したい分野ができてしまったため、他の地方に就職。奨学金の返済も、2本立てとなってしまいました。

奨学金を返済

地方自治体の奨学金は、返済期限が3年と決まっていたため、その期間はJASSOの返済月額を抑え、優先して返済を行いました。自治体の奨学金を返済した後は、JASSOの奨学金の返済額をアップ。JASSOの有利子の奨学金は、繰り上げ返済によって利息分の減額につながるため、ある程度貯金ができると積極的に繰り上げ返済するようにしました。その成果もあって、卒業後10年程度で全ての奨学金を完済することができたのです。

国家資格を取得すれば必ず返済できる

近年メディアでは、奨学金を借りることによって社会人になったと同時に借金を背負う、といったマイナスイメージの報道がなされることが多いようですが、私の場合は奨学金を借りることについて躊躇はありませんでした。その理由の一つは、お金を理由に夢を諦めたくなかったこと、もう一つは、国家資格を取得して就職すれば必ず完済できるという見通しがあったからです。

奨学金を活用してよかった点

奨学金を活用するメリットとしては、何と言っても学費の心配をせずに勉学に励めることです。これは私の場合の「奨学金の副産物」ですが、奨学金の貸与条件である「成績優秀」を満たすために躍起になって勉強したので、常に成績を上位に保つことができました。そのおかげで、就職活動を有利に運ぶことができたのも嬉しいポイントでした。

今も多くの学生が奨学金を活用しつつ、充実した学生生活を送っています。奨学金はある意味、人生の節目における大きな自己投資ではないかと思います。上手に活用して、是非理学療法士になるという夢を叶えてくださいね。

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