作業療法士とは 福岡で理学療法士・作業療法士になるための学校

作業療法士とはどのようなリハビリの専門家?資格取得の方法から活躍している場所、将来性までわかりやすく解説します

作業療法士(OT)はリハビリテーション分野における国家資格であり、身体や心に障害を持つ方のリハビリテーションを行う専門家として幅広い分野で活躍しています。

作業療法士とはどのような仕事を行うのか、資格の概要や理学療法士との違い、将来的なキャリアアップの道などについてわかりやすく解説していきます。

作業療法士の資格について気になっている方や、作業療法士を目指している方にとって理解を深めるきっかけになると嬉しいです。

三浦 衣里子先生(作業療法学科 担当)

この記事を書いた作業療法士の先生
三浦 衣里子先生(作業療法学科 担当)

大分県の昭和学園高等学校(福祉科)を卒業後、介護福祉士国家資格を取得。その後、久留米リハビリテーション学院へ進学し、作業療法士として就職。介護の知識を生かして活躍後、作業療法士を育成する教員として母校へ戻ってきました。

1. 作業療法士とは?知っておきたい基礎知識

作業療法士とは「理学療法士及び作業療法士法」にもとづく国家資格です。作業療法士は医師の指示の下に、作業療法を実施する行なうことを業とする者をいう名称独占資格であり、作業療法士の資格を持たない人が作業療法士を名乗ることはできません。

※参考)厚生労働省「理学療法士及び作業療法士法の施行について」

ページの前半では、作業療法士の定義などの基本的なことについて解説していきます。

1-1.そもそも「作業療法」とは?

作業療法士とはどのようなリハビリの専門家

作業療法は心や体に障害を持ち、日常生活に困難をきたしている、または困難が生じると予想される対象者に対して、作業活動を通じて対象者の生活スタイルや価値観、目的に応じた生活を達成できるように治療、指導、援助を行います。

理学療法と同様、実際に体に触れ、筋力の向上や関節の動きに対してアプローチしながら作業活動を治療手段として用い、支援を行います。
「作業活動」とは手工芸や手作業を単純に表したものではなく、人が生きていく上で必要な行為(食事やトイレ、家事全般、仕事、趣味、遊びなど)である「生活行為」全てを指します。

1-2.作業療法の対象となる人

作業療法の対象となる人は主に以下のような人です。

身体に障害のある人
脳梗塞・脳出血、パーキンソン病、脊髄損傷、関節リウマチ、骨折・外傷、心臓疾患、がん、呼吸器疾患、末梢神経障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など

心に障害のある人
統合失調症、認知症、アルコール依存症、うつ病、双極性障害、摂食障害、神経症性障害、高次脳機能障害など

発達期において障害のみられる子ども
自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)、脳性麻痺、重症心身障害、先天性疾患など

高齢期において障害のある人
認知症、骨折、廃用症候群、フレイル、骨関節疾患など

2.作業療法士の仕事内容

作業療法士の仕事内容とは
作業療法士は対象者の「その人らしい」生活の獲得に向けて、3つの段階の能力の改善・維持を行います。以下で、3つの段階の能力について解説します。

2-1.基本的動作能力

基本的動作能力とは、運動機能、精神機能、感覚・知覚・認知機能、心肺機能などの基本的な心身機能です。

作業療法士は対象者の心身の状態に合わせて、目標とする生活の獲得に必要な心身機能の改善、維持を目的に関節可動域訓練、上肢・下肢機能訓練、姿勢バランス訓練、心肺機能訓練などを行います。

2-2.応用的動作能力

応用的動作能力とは、食事、トイレ、洗面、入浴、移動などの日常生活動作や、洗濯・料理・掃除・買い物といった家事活動の獲得を目指して、実際の場面を想定した動作練習や日常生活動作や家事動作につながる活動などを行います。

2-3.社会的適応能力

社会的適応能力とは、仕事や学校、地域活動への参加に必要な作業能力の獲得や耐久性・正確性の向上、注意力・記憶力・問題解決能力などの高次脳機能の獲得、生きがいづくりなど、その人らしい生活を送るために必要な能力の獲得や向上を作業や活動を通して支援します。

3.作業療法士が活躍している場所

作業療法士の活躍先 医療・福祉領域
作業療法士が活躍できる場所や就職先は領域ごとに分けることができます。
次の段落で作業療法士の活躍できる領域ごとの施設と作業療法士が対象とする人、仕事内容の特徴を解説します。

3-1.医療領域

総合病院、大学病院、小児病院、リハビリテーションセンター、精神科(神経科)病院、診療所・クリニックなど

心身の病気やけがで入院・通院している患者さん、在宅で療養されている患者さんに対して在宅復帰や安定した生活を送るための心身機能の回復や日常生活動作の獲得、充実した社会生活につながる作業活動の導入、自宅で安全に自立した動作が行えるための環境調整などを行います。

急性期、回復期、生活期のそれぞれの時期において必要なリハビリテーションを実施し、他職種とのチーム医療も求められます。

3-2.福祉領域

老人福祉施設、心身障害者福祉センター、障害者支援施設、児童福祉施設、母子福祉施設、知的障害者援護施設、精神障害者社会復帰施設など

地域で生活している心身に障害のある方や発達期の障害のある児に対して、今の生活がより充実した生活となるように機能訓練や生活訓練、職能訓練などを利用者主体で実施していく支援を行ないます。
また、高齢者や認知症の増加によって交通事故が社会的に大きな問題になってきていることより、作業療法士による自動車運転支援として免許センターや自動車教習所などの機関と連携して「運転作業療法」を行っています。

3-3.保健領域

保健所・保健センター、市町村役場の地域保健課など

地域で生活している方の病気や障害を予防し、健康の増進・維持のための支援を行います。とくに高齢者が要介護状態となることを予防するために健康教室での体操や身体機能チェック、講演や講義を通して健康維持のための指導や助言などを行います。

3-4.教育領域

作業療法士養成校、特別支援学校など

作業療法士を養成する大学や専門学校などにおいて、教員として作業療法士を目指す学生の指導に携わります。特別支援学校では心身に障害のある児童が学校生活や家庭生活を送りやすくするための姿勢運動・日常生活動作・手指の操作性の向上や学習しやすい環境を整えるために学習用具・机や椅子などの環境調整を行います。

4.作業療法士を目指すメリット3つ

作業療法士を目指すメリット

作業療法士の仕事内容や活躍する場所について確認してきました。医療や福祉、保健などの分野で働く職種は作業療法士以外にもありますが、その中でも作業療法士を目指すメリットについて、国家資格、対象者に合わせた支援、やりがいの3つの視点から解説します。

4-1.国家資格のため幅広く活躍できる

作業療法士は国家資格であるため、高い専門性を持って社会的な信頼のもとに活躍できる職種です。

病院や高齢者施設、児童福祉施設、リハビリテーションセンター、行政機関、学校などのさまざまな機関で作業療法士は活躍しており、自分の興味や関心に合わせて働く分野を選択することができます。また、経験を積んで他の分野へと幅を広げていくことも可能です。

4-2.対象者に合わせた支援ができる

作業療法士は対象者の心身機能だけでなく、高次脳機能や日常生活動作、住環境、生活スタイルなどから総合的に対象者を捉えて、対象者の希望する生活に必要な能力や活動の獲得を促し、生活環境にも働きかけます。

作業療法士は、対象者一人ひとりの状態、生活に合わせた総合的な支援を行えるメリットがあります。

4-3.対象者の回復が自分のやりがいになる

自分の介入した対象者が心身機能の回復や生活動作の獲得、社会生活への適応など、できることが増えて元気に過ごせるようになっていく姿を見ると仕事のやりがいを感じられます。

対象者が自分の希望の生活ができるようになり、活き活きと過ごす姿や笑顔で活動に取り組む姿を目にすることは仕事を行ううえでの励みにもなります。

5.作業療法士と他職種との違い

作業療法士と理学療法士・言語聴覚士・介護福祉士の違い
ここからは、作業療法士と同じリハビリテーション職であり、似ている資格である理学療法士・言語聴覚士と作業療法士との違いを解説していきます。

5-1.作業療法士と理学療法士の違い

理学療法士は主に身体の機能低下や障害に対してアプローチし、生活に必要な、立つ・歩くなどの基本的な動作の獲得を目指すのに対し、作業療法士は身体と心の双方に働きかけて日常生活、社会生活の獲得を目指します。

アプローチの手段は理学療法士が物理療法や運動療法などが中心となるのに対し、作業療法士は作業や活動を用いて治療や支援を行います。

5-2.作業療法士と言語聴覚士の違い

作業療法士は日常生活や社会生活で必要な認知機能の維持・改善や食べやすい姿勢・上肢操作能力の獲得を目指すのに対し、言語聴覚士はことばや聞こえ、飲み込みなど言語聴覚機能障害のある人に対して訓練や指導、助言などを行います。

主に口の機能の改善やコミュニケーション手段の獲得、食べる能力の向上や食べる能力に合わせた食事の指導などを専門的に行います。

5-3.作業療法士と介護福祉士の違い

介護福祉士は心身に障害があり、日常生活に困難をきたしている対象者の生活支援を行います。

具体的には対象者が一人では行えない生活動作の介助や対象者が希望の生活を送りやすいように働きかけを行うのに対し、作業療法士は日常生活動作の獲得を目指して評価を行い、機能訓練や生活動作練習、環境調整を行います。

6.作業療法士になるには

では、実際に作業療法になるために必要な条件や養成施設、作業療法士を目指すためのルートについて解説します。

6-1.作業療法士養成施設を卒業して受験資格を得る

作業療法士養成施設を卒業する
作業療法士になるための最初のステップは、文部科学大臣または厚生労働大臣指定の養成施設を卒業することです。

養成施設には専門学校・短大・大学があり、3年制と4年制にわかれています。以下で専門学校、大学、短大の学ぶ内容の違いやそれぞれの施設におすすめの人について解説します。

6-1-1.専門学校

2018年時点での作業療法士を養成する専門学校の数は105施設※2で、養成施設の中で最も多い数を占めます。

専門学校は臨床に出てから必要となる実践力が身につく教育内容で構成されています。専門学校には3年制と4年制があり、3年制は専門士、4年制は高度専門士の称号が付与されます。

4年制では3年制よりも1年間長い分、より専門的な知識や技術を深く学ぶことができ、実践につながる演習も充実しています。じっくりと時間をかけて学びを深めたい人におすすめです。3年制はより早く臨床に出られるため、現場で実践力を身につけたい人におすすめです。

※2 理学療法士・作業療法士の需給推計を踏まえた今後の方向性について

6-1-2.大学

2018年時点での作業療法士を養成する大学の数は80施設※2です。大学では作業療法士の専門的な知識や技術以外に一般教養科目も学び、幅広い分野の知識や社会性を身につける学びの内容でカリキュラムが構成されています。大学を卒業すると学士の学位を取得でき、その後に修士、博士と進むことも可能です。

一般的な教養も幅広く学びたい人、学士を取得して修士、博士と学びを深めたい人、研究を行いたい人におすすめです。

6-1-3.短大

2018年時点での作業療法士を養成する短大の数は5施設※2です。一般的な短大は2年制ですが作業療法士養成のための短大は3年制となります。

卒業すると短期大学士の学位を取得できます。一般教養科目も幅広く学びながら作業療法士として早く臨床で活躍したい人におすすめです。

6-2.作業療法士国家試験を受験する

作業療法士の養成施設で3年以上修業し、作業療法士に必要な知識と技術を修得すると作業療法士国家試験受験資格が得られます。国家試験の概要について解説します。

  • 試験の時期:国家試験は年に1回の施行。例年は2月の実施。
  • 試験形式:筆記試験(マークシート)一般問題および実地問題。重度視力障害者に対しては実地問題において口述試験および実技試験の代替あり。
  • 出題範囲:一般問題(解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む)、臨床医学大要(人間発達学を含む)、作業療法)、実地問題(運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む)、作業療法)
  • 合格率:令和3年2月21日実施、第56回作業療法士国家試験合格率81.3%(うち新卒者88.8%)※3
  • 難易度:総得点275点満点中165点以上かつ実地問題117点満点中41点以上で合格

※3  厚生労働省 第56回理学療法士国家試験及び第56回作業療法士国家試験の合格発表について

6-3.「合格証書」が届いたら免許申請を行う

作業療法士の国家試験に合格したら免許申請を行います。免許申請を行うことにより、厚生労働省で管理している有資格者名簿に登録されます。免許申請の概要について簡単に解説します。

  • 申請先:住所のある地域の保健所に提出。一部の県では保健所ではなく県庁に提出する
  • 手数料:9000円の収入印紙
  • 免許証が届くまでの期間:申請日から2~3カ月程度。免許証が届くまでは登録済み証明書の発行(申請日の翌日までに発行される)が可能。

7.作業療法士のキャリアアップ

作業療法士としてのキャリアアップ
作業療法士として働き、経験を重ねることでキャリアアップを図ることができます。ここでは作業療法士のキャリアアップとして考えられる道について紹介していきます。

7-1.作業療法士としての専門性を高める

作業療法士として臨床での経験を積み、各分野での専門性を高めることができます。

手の外科、がん、認知症、福祉用具、高次脳機能障害、特別支援教育、就労支援、訪問作業療法 精神科急性期、摂食嚥下の分野では、専門性を高めて高度な作業療法の実践能力を有する専門作業療法士を目指すことができます。

7-2.関連する資格を取得して仕事の幅を広げる

作業療法士の資格を活かせる分野の職業など、作業療法以外の領域に仕事の幅を広げて活躍することもできます。例えば以下のような資格や職種があります。

  • 対象者の介助やケアに携わる専門職である介護福祉士
  • 要支援・介護者のケアプランを立てる介護支援専門員
  • 住宅改修や福祉用具の特徴や選び方の知識を有した住環境コーディネーター
  • 障害を持っている人が着やすく気持ちが晴れやかになる洋服のデザイナー
  • 認知症ケアに関する高度な知識と技術を持った認知症ケア専門士

7-3.リーダー・部門長になる

所属している施設で経験を重ね、リーダーや部門長などに昇進する道もあります。

新人・後輩作業療法士の育成・指導や施設の運営にも関わり、作業療法部門やリハビリテーション部門の統括を行います。作業療法士部門だけでなく、他部署や施設外での会議の参加や運営に関わる事務作業なども行います。

8.作業療法士の将来性

作業療法士の将来性
日本では今後ますます高齢化が進み、要支援・要介護者や認知症患者が増加することが見込まれており、その人らしい日常生活を支えていく作業療法士の需要は今後も高まると言えます。

災害後の人々のケアや今後生活が困難になることが見込まれる地域で生活する方への支援、学校や家庭での生活や学習のしづらさを抱えている子どもたちなど、病気やけが後に明らかな障害を抱えている方々以外にも作業療法士が活躍する場は広がっています。

今後は需要の高まる地域で作業療法士として活躍するほかにも、自分が作業療法士として行いたいことを開拓し、活動していく道もあるでしょう。

9.おわりに

これから地域で暮らしていく高齢者が増えゆく日本では最期まで自分らしく過ごすという個人を尊重した生き方が大切とされます。また、これからは教育や職場、社会においても一人ひとりの特性や目的に合った介入が求められます。作業療法士の持つ個人に合ったその人らしく生活するための技術や支援は必要とされる力だと考えられます。

作業療法士としてのキャリアアップの道は、自分の興味のある分野で深く学んでいく道や関連する職種や資格を取得して幅を広げていく道、施設の運営や人材の育成に関わる道など、自分に合った道を進むこともできます。

個が尊重される社会において個人に合わせた生活を支えていく職種である作業療法士は、社会に欠かせない職種としてその価値も見出されていくでしょう。

三浦 衣里子先生(作業療法学科 担当)

この記事を書いた作業療法士の先生
三浦 衣里子先生(作業療法学科 担当)

大分県の昭和学園高等学校(福祉科)を卒業後、介護福祉士国家資格を取得。その後、久留米リハビリテーション学院へ進学し、作業療法士として就職。介護の知識を生かして活躍後、作業療法士を育成する教員として母校へ戻ってきました。

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